研究課題/領域番号 |
19K21197
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補助金の研究課題番号 |
18H06074 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2019) 独立行政法人国立科学博物館 (2018) |
研究代表者 |
長井 裕季子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), 技術スタッフ (20822612)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 電子顕微鏡 / バイオミネラリゼーション / 有孔虫 / FIB(集束イオンビーム) / カルサイト / 微細構造観察 / FIB(集束イオンビーム) |
研究開始時の研究の概要 |
石灰質有孔虫の殻に含まれる微量元素や同位体比は、環境に依存性して変化する為、古環境間接指標として広く応用されている。しかしその組成は種間の違いが大きい。その違いをもたらす要因はまだ分かっていない為、有孔虫殻の古環境間接指標としての信頼性向上を阻んできた。Mgの過多は殻形成過程に関連すると推測されている。そこで本研究では有孔虫が殻形成の際に有機膜で海水から隔絶した空間を作り、その中で石灰化を行うことに着目し『有孔虫殻の元素組成のばらつきは、膜状構造の水密性の違い、すなわち外界との隔絶の度合いの違いに起因する』という仮説を検証する為に、種によって大きく異なるMgの含有率と膜状構造の形態を比較する。
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研究成果の概要 |
石灰質有孔虫殻の微量元素・同位体組成は様々な古環境間接指標として用いられているが、その組成は環境因子だけでなく種毎にも異なることが知られている。しかし種毎の組成変異の要因は未だ解明されておらず、また有孔虫殻の形成プロセスや細胞レベルでの元素の取り込みも明らかになっていない。本研究では殻のMg含有率の異なる3種の有孔虫を用いて、それぞれの殻形成の様子や殻形成時に殻形成部位を覆う有機膜の水密性に着目した。Mg含有率の異なるそれぞれの有孔虫の殻形成を観察したところMg含有率の高い有孔虫ほど石灰化にかかる時間が長い傾向がみられた。また殻形成時の殻形成部位への細胞質の関わり方がそれぞれで異なっていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Mg含有率の異なる有孔虫3種の殻形成過程の観察や殻形成部位の微細構造観察を行ったところ、殻形成に要する時間や殻形成部位への細胞質のアプローチに違いが見えてきた。このことから各々の有孔虫に異なる殻形成戦略があることが示された。地球科学的問題に対し生物学的なアプローチを加えたことで今日まで棚上げにされてきた種特異的な殻組成の変異の要因を知る緒を得た。今後は海水から殻への分配係数を把握することで、これまでの研究の信頼性をより高め、欠落していた環境因子に対する指標の開発にも繋がるだろう。他種での観察を続け、また細胞レベルでの元素の取り込み把握の為に細胞内外の元素の可視化を行う必要があると考えられる。
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