皮膚科疾患におけるインターフェロン誘導性遺伝子の解析とその応用

• 研究課題/領域番号: 19K21328
• 補助金の研究課題番号: 18H06228 (2018)
• 研究種目: 研究活動スタート支援
• 配分区分: 基金 (2019); 補助金 (2018)
• 審査区分: 0903:器官システム内科学およびその関連分野
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 金丸 央 熊本大学, 病院, 病院教員 (20823313)
• 研究期間 (年度): 2018-08-24 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円); 2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
• キーワード: インターフェロン / 悪性黒色腫 / 代謝 / 腫瘍免疫 / 転写因子 / 樹状細胞 / サイトカイン / 免疫療法 / I型インターフェロン / 遺伝子 / 皮膚悪性腫瘍 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 自然免疫

研究開始時の研究の概要

近年、皮膚悪性腫瘍の一つである悪性黒色腫に対し、免疫チェックポイント阻害薬に代表される免疫療法の有効性が報告され、これらの治療成績に影響を与える重要な因子としてI型インターフェロン(IFN)が注目されている。本研究は皮膚免疫においてI型IFN誘導性遺伝子に重要な影響を与える因子を探索し、その病態における機序を解明することで、診断・予後マーカーとしての可能性を探り、さらに上記の免疫療法への応用の可能性を検討する。

研究成果の概要

I型インターフェロン(IFN)は悪性黒色腫に対する重要な抗腫瘍因子として注目されている。本研究はI型IFN誘導性遺伝子の役割に焦点を当て、これらの遺伝子に影響を与える因子を探索し、その病態における機序を解明することを目的とした。I型IFN誘導性遺伝子に影響を与える因子の探索を行った結果、腫瘍代謝産物X(未公開)により、樹状細胞において抗腫瘍効果を持つサイトカインIL-12bの産生が抑制された。網羅的解析からXは転写因子Y(未公開)を誘導することが分かった。遺伝子Yはヒトの悪性黒色腫の組織において病期ステージが進行するほど発現率が上昇しており、腫瘍免疫において重要な因子であることが示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究は、I型インターフェロン誘導遺伝子および腫瘍由来の代謝産物の役割に関しその機序を解明することで、診断・予後マーカーとしての可能性を探り、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の奏効率改善も含めた治療応用についての可能性を検討することを目的としている。本研究は皮膚悪性腫瘍に対する治療成績の向上、および診断・予後予測精度の向上により、ICIの奏効率改善だけではなく、ICIに関連するコストの圧縮やさらに同様の手法を他の悪性腫瘍に展開できる可能性があるという側面もあり、学術的・社会的な意義を有している。

研究成果

• [雑誌論文] Successful treatment of occult pancreatic melanoma using BRAF/MEK inhibitors. (2020)
  • 著者名/発表者名: Mizukami Y, Kanemaru H, Nakamura K, Hashigo S, Kajihara I, Miyashita A, Aoi J, Fukushima S, Honda Y, Ihn H.
  • 雑誌名: J Dermatol. 巻: 47 号: 4
  • DOI: 10.1111/1346-8138.15198
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Inhibition of Endoglin Exerts Antitumor Effects through the Regulation of Non-Smad TGF-β Signaling in Angiosarcoma (2020)
  • 著者名/発表者名: Ryoko Sakamoto, Ikko Kajihara, Hitomi Miyauchi, Saki Maeda-Otsuka, Saori Yamada-Kanazawa, Soichiro Sawamura, Hisashi Kanemaru, Katsunari Makino, Jun Aoi, Takamitsu Makino, Satoshi Fukushima, Mamiko Masuzawa, Mikio Masuzawa, Yasuyuki Amoh, Daichi Hoshina, Riichiro Abe, Hironobu Ihn
  • 雑誌名: Journal of Investigative Dermatology 巻: － 号: 10 ページ: 2060-2072.e6
  • DOI: 10.1016/j.jid.2020.01.031
  • 査読あり
• [雑誌論文] Serious disseminated intravascular coagulation associated with combination therapy of nivolumab and ipilimumab in advanced melanoma. (2020)
  • 著者名/発表者名: Kuriyama H, Fukushima S, Nakahara S, Kanemaru H, Miyashita A, Aoi J, Tomita Y, Kawasaki T, Nosaka K, Ihn H.
  • 雑誌名: J Dermatol. 巻: - 号: 6
  • DOI: 10.1111/1346-8138.15336
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Induced pluripotent stem cell‐derived myeloid cells expressing OX40 ligand amplify antigen‐specific T cells in advanced melanoma (2020)
  • 著者名/発表者名: Kimura Toshihiro、Fukushima Satoshi、Okada Etsuko、Miyashita Azusa、Tsukamoto Hirotake、Uemura Yasushi、Senju Satoru、Ihn Hironobu
  • 雑誌名: Pigment Cell & Melanoma Research 巻: - 号: 5 ページ: 744-755
  • DOI: 10.1111/pcmr.12887
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Successful prednisolone treatment of peripartum Behçet’s disease associated with HLA-A26 (2020)
  • 著者名/発表者名: Saori Kiyohara, Hisashi Kanemaru (corresponding author), Takehisa Suzuki, Kayo Nakamura, Noritoshi Honda, Katsunari Makino, Ikko Kajihara, Takamitsu Makino, Takashi Ohba, Hironobu Ihn
  • 雑誌名: Australasian Journal of Dermatology 巻: －
  • 査読あり
• [雑誌論文] Brain abscess in an angiosarcoma patient during a disease-free interval (2019)
  • 著者名/発表者名: Kuriyama H, Kajihara I, Kanemaru H, Nishimura Y, Igata T, Masuguchi S, Imaoka Y, Makino K, Ihn H
  • 雑誌名: Drug Discoveries & Therapeutics 巻: 13 号: 3 ページ: 175-176
  • DOI: 10.5582/ddt.2019.01042
  • NAID: 130007682075
  • ISSN: 1881-7831, 1881-784X
  • 年月日: 2019-06-30
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Case of cutaneous myoepithelioma managed with surgical resection without recurrence for 4?years. (2019)
  • 著者名/発表者名: Kanemaru H, Honda N, Kubo Y, Nishihara H, Onuma T, Sakai K, Fukushima S, Inoue Y, Honda Y, Ihn H
  • 雑誌名: The Journal of dermatology 巻: 印刷中 号: 6
  • DOI: 10.1111/1346-8138.14769
  • 査読あり
• [雑誌論文] he Warburg effect and tumour immune microenvironment in extramammary Paget's disease: overexpression of lactate dehydrogenase A correlates with immune resistance. (2019)
  • 著者名/発表者名: Urata K, Kajihara I, Miyauchi H, Mijiddorj T, Otsuka-Maeda S, Sakamoto R, Sawamura S, Kanemaru H, Kanazawa-Yamada S, Makino K, Aoi J, Makino T, Fukushima S, Komohara Y, Ihn H.
  • 雑誌名: J Eur Acad Dermatol Venereol. 巻: - 号: 8 ページ: 1715-1721
  • DOI: 10.1111/jdv.16145
  • 査読あり
• [学会発表] The antitumor effect of BATF2 through IL-12 p40 up-regulation in tumor-associated macrophages (2020)
  • 著者名/発表者名: 金丸 央
  • 学会等名: 日本研究皮膚科学会 第11回きさらぎ塾
• [学会発表] 悪性黒色腫の患者における血漿cfDNAを用いたBRAF遺伝子変異の検出 (2020)
  • 著者名/発表者名: 金丸央、梶原一亨、宮内仁美、宮下梓、青井淳、福島聡、尹浩信
  • 学会等名: 第119回日本皮膚科学会総会
• [学会発表] 腫瘍免疫における転写因子BATF2のIL-12p40発現促進の機序について (2019)
  • 著者名/発表者名: 金丸 央、佐藤 荘、福島 聡、尹 浩信、審良 静男
  • 学会等名: 第35回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会
• [学会発表] 皮膚科疾患における転写因子BATFファミリーの意義とその応用 (2019)
  • 著者名/発表者名: 金丸 央、佐藤 荘、福島 聡、尹 浩信、審良 静男
  • 学会等名: 第118回日本皮膚科学会総会
• [学会発表] 転写因子BATF2のIL-12p40発現促進機構 (2019)
  • 著者名/発表者名: 金丸 央、佐藤 荘、福島 聡、尹 浩信、審良 静男
  • 学会等名: 第23回日本がん免疫学会学術大会
• [学会発表] 腫瘍関連マクロファージにおける転写因子BATF2のIL-12p40発現促進による抗腫瘍効果 (2018)
  • 著者名/発表者名: 金丸 央、佐藤 荘、福島 聡、尹 浩信、審良 静男
  • 学会等名: 第22回日本がん免疫学会学術大会
• [学会発表] 転写因子BATF2のIL-12p40発現促進による抗腫瘍効果について (2018)
  • 著者名/発表者名: 金丸 央、佐藤 荘、福島 聡、尹 浩信、審良 静男
  • 学会等名: 第34回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会