研究課題
研究活動スタート支援
SMAD4発現と白板症の癌化との関連性を明らかにするため、口腔白板症臨床検体を対象として各種免疫組織化学染色を駆使して検討を行う。また口腔上皮細胞株のSMAD4発現を抑制し、各種遺伝子の変化を確認する。また当科で樹立した高転移株、抗癌剤耐性株を用いてSMAD4を抑制させて細胞の遊走・浸潤能の評価を、種々の抗癌剤を用いた薬剤感受性試験で抗癌剤感受性の評価を行う。その形質の変化に関連する分子機構に関しては、SMAD4を抑制した細胞株にて網羅的な遺伝子発現解析を行って関連する遺伝子を探索し、分子メカニズムの解明を行う。
口腔扁平上皮癌(OSCC)患者において、SMAD4低発現群は化学放射線治療(CRT)の治療効果不良かつ有意に予後が不良であった。OSCC細胞株でSMAD4を抑制すると、5-FUおよびCDDPの感受性の低下を認め、cIAP2の発現が上昇していた。CRTの治療効果不良であった症例の切除標本で、CRT後も生存していた癌細胞でSMAD4の発現低下とcIAP2の高発現を認めた。OSCCにおいてSMAD4低発現は、cIAP2発現上昇による抗アポトーシス作用増強を介して抗癌剤抵抗性に関与している可能性が示唆された。SMAD4がOSCCの治療効果予測因子および治療標的として応用できる可能性が示唆された。
口腔扁平上皮癌(OSCC)は口腔癌の80%以上を占める悪性腫瘍であり、近年、OSCCの診断・治療法の選択肢は広がっているが、その5年生存率に大きな改善はみられない。また、わが国での口腔癌および咽頭癌による年間死亡者数は過去15年で約1.5倍に増加しており、その増加傾向の抑制が急務とされる。本研究の成果としてSMAD4が口腔白板症からの癌化予測因子、OSCCの治療効果予測因子および治療標的として応用できる可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)
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