研究課題
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芳香族アミンによる膀胱発がんは以前より知られている。日本の工場でo-toluidine(OTD)などの芳香族アミンを扱った従業員らが膀胱がんを発症した。工場ではOTDを原料とし、OTDと類似構造をもつacetoaceto-o-toluidide(AAOT)を製造していた。OTDは膀胱発がん物質であり、OTDと類似構造を有するAAOTも膀胱発がん性を有する可能性が否定できない。AAOTの短期毒性試験では、AAOTがラット膀胱粘膜上皮に対して細胞増殖能の亢進、DNA傷害を生じさせた。本研究では、AAOTの膀胱発がん促進作用の有無、AAOTの代謝、発がんメカニズムを明らかにすることを目的とする。
本研究は、芳香族アミンacetoaceto-o-toluidide (AAOT) の膀胱発がん性、及びそのメカニズムを評価することを目的とした。その結果、AAOTが他の芳香族アミンと同様に膀胱発がん物質であることが初めて明らかとなった。AAOTの膀胱発がん性にはJUNとその下流標的遺伝子の発現亢進が関与しており、AAOTから代謝される既知の膀胱発がん物質であるo-toluidine (OTD) がAAOTの最終的な膀胱発がん物質であると考えられた。
芳香族アミンによる職業性膀胱発がんはよく知られているが、acetoaceto-o-toluidide (AAOT) の膀胱発がん性についてはほとんど知られていない。本研究では、AAOTが他の芳香族アミンと同様に膀胱発がん物質であることを初めて明らかにした。AAOTの膀胱発がん性及びメカニズムを公開したことは、社会的意義が高く、芳香族アミンによる膀胱発がんの知見を深めることに貢献したと考える。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件)
Arch Toxicol
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