研究課題/領域番号 |
19K21542
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補助金の研究課題番号 |
18H06476 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 仁彦 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00826571)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ゲーム理論 / 限定合理性 / 繰り返しゲーム / ゼロ行列式戦略 / 寡占 / インサイダー情報 / 情報の非対称性 / カオス / 不完備情報ゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
ゲーム理論は複数の人間の合理的な意思決定を数学的に記述する理論である。この際、人間の行動は均衡の概念を用いて記述される。しかしながら、行動経済学的実験によると、人間の行動は必ずしも合理的ではないこと(限定合理性)が指摘されてきた。限定合理性の一つの起源として、人間の計算能力に限界があることが挙げられる。本研究では複雑なゲームを行う際にこの計算量的限界によって均衡点に至ることができなくなる現象を統計力学の観点から解析する。
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研究成果の概要 |
本研究では、(1)繰り返しゲームにおいて近年発見されたゼロ行列式戦略のゲームに依存しない数学的性質の解明、(2)限定合理的なクールノー寡占ゲームにおけるインサイダー情報の効果の解析、の2つの課題を行った。結果として、(1)存在可能なゼロ行列式戦略には大きな制約があること、(2)インサイダー情報がカオス的な経済ダイナミクスを安定化し得ること、がわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ゼロ行列式戦略はプレイヤーの平均利得の間に一方的に線形関係式を課す戦略であり、必ずしも合理的な戦略ではないが他のプレイヤーを罰する際などに有用であると考えられている。これまで囚人のジレンマゲームのような具体的なゲームにおいてはその性質が調べられてきたが、ゲームの構造によらない性質はあまり注目されてこなかった。本研究ではゼロ行列式戦略のゲームの構造によらない数学的性質を明らかにしたので、一般のゲームにおいてゼロ行列式戦略を構成する必要がある際の指針として有用となると考えられる。また、限定合理的寡占ゲームにおいて、インサイダー情報のような有害であると思われている概念の有用性を見出すことができた。
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