研究課題/領域番号 |
19K21561
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補助金の研究課題番号 |
18H06499 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鎌内 宏光 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (00398942)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 海霧 / 沈着 / イオウ / 安定同位体 |
研究開始時の研究の概要 |
北海道東部太平洋沿岸をはじめに、世界各地の海霧多発地域では時にpH3前後の酸性霧が観測される。一般に霧は大気汚染物質である人為由来の硫酸や硝酸により酸性化するが、海霧が生じる気流は大洋を経る場合が多く、人為汚染物質はほぼ含まないと推定される。そこで海霧に含まれる硫黄安定同位体比を測定して海洋由来であることを確認し、さらに道東で観測される霧のpHの日変化を説明するため窒素安定同位体比を測定して人為由来の貢献を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、北海道東部太平洋側において、海霧の酸性成分の由来をイオウの安定同位体比分析によって解明することを目的とした。 3地域で採取した地衣類で測定した結果、内陸ではいずれの地域でも5 ‰前後で平衡に至ったことから、沈着するイオウの起源は内陸では天水と考えられた。一方、海岸線では7~13 ‰であり、またいずれの採取地周辺でも大規模な人為負荷源が存在しないことから、海由来の寄与が相対的に高いと考えられた。また、海岸線におけるイオウ安定同位体比には地域差が大きく、海霧の年間発生日数とは異なる傾向を示したことから、海霧の発生頻度に加えて、沈着を支配する卓越風の風向などの微気象によると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの研究では、時折観測される北西太平洋の酸性海霧は、東アジアの人為負荷源から輸送されたSOxやNOxに由来するとされてきた。しかし北海道の内陸部では天水がイオウの起源であり、長距離輸送された人為由来のイオウが北西太平洋に広範囲に沈着しているという従来の説を覆すものである。 東アジアがSOxやNOxの大規模な排出源であることは疑いないが、その輸送過程や沈着範囲を明らかにする上で、本研究は海洋、つまり自然由来のイオウの循環の過程の一端を明らかにした。
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