研究課題/領域番号 |
19K21577
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
住谷 昌彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80420420)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 化学療法 / 認知機能障害 / 高齢者 / 化学療法誘発性認知機能障害 / QOL |
研究開始時の研究の概要 |
がん患者の予後(治療成績)はがん自体の要因だけでなく、がん患者の加齢性変化、特に認知機能低下が甚大な悪影響を与える。本研究は、超高齢がん患者および老いていく中高年がん患者に向けて、化学療法の受療に伴う認知機能の低下を早期に予測し治療を中断・中止することで生の消滅の回避は困難となるが認知機能の維持により健康寿命の維持およびQOL向上に繋がる客観的な神経軸索損傷バイオマーカーpNF-H(血清値)を用いた基準を探索することを目標にしている。がん患者30名を経時的に追跡し血清pNF-H値と認知機能テストの関連解析を行うことでケモブレインの発症と重症化を血液検査(pNF-H値)で予測することを目指す。
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研究成果の概要 |
中高年がん患者と若年がん患者を対象に、化学療法開始前、各投与時、終了6ヶ月、1年時点を基本として血液分析、認知機能テストと脳MRI容積計測を実施し一般化線型混合モデルを用いて2群比較した。神経軸索損傷バイオマーカーpNF-Hは2群に交互作用はなかったが投与回数に応じてpNF-H陽性率、血清値累積血清値は増加した。認知機能テストは、2群に交互作用はなかったが化学療法投与数により悪化した。脳MRI容積計測について変化しなかったが、一部脳領域では交互作用があった。ただし、脳領域の交互作用は中高齢群で減少(萎縮)しているだけでなく増加している領域もあった。抑うつ・不安は化学療法投与数により悪化した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
化学療法の受療に伴う認知機能の低下(ケモブレイン)が観察されたが、抑うつ・不安の心理的問題も並行して生じているため、これによる影響は否定できない。また、pNF-Hの増加が観察されたが脳領域の明らかな萎縮は観察されておらず、その一方で化学療法誘発性ニューロパチーがpNF-H陽性化・増加と並行しており、pNF-Hは末梢神経系での神経ダメージの可能性も考えられた。中高齢者では各計測項目で群間差がある際に化学療法前の状態悪かった。したがって、これら計測項目の術前状態に応じて神経保護戦略と神経ダメージのスクリーニングを強化する必要が考えられる。
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