研究課題/領域番号 |
19K21626
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
広瀬 友紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50322095)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 第二言語習得 / 自由会話 / 子供の第二言語処理 / Child L2 acquisition / 第二言語処理 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語母語話者が第二言語として英語を発話産出する際の様々な音韻現象を、実験室環境で なく自然な会話において詳しく観察・分析する。ここでターゲットとなる、分節的および超 分節的な現象については豊富な先行研究の蓄積から精査したうえで整理されている。先行研 究における知見の蓄積を再評価・再検討することにより、second language phonologyのメカニ ズムに迫る。
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研究実績の概要 |
本研究は、第二言語として日本語母語話者による英語発話の特徴について、帰納的かつ同時に探索的な視点から再検討を行う試みである。日本語を母語とする英語のearly learners(幼少期習得)及びlate learners (思春期以降習得 )の自由会話を録音して得られたデータから、第二言 語として英語を発話産出する際の様々な 音韻現象を複数のポイントに絞って詳しく観察・分析する作業に着手した。また、データ収集において協力関係にあるハワイ大学とともに、共同ワークショップを開催する予定であった。
しかし新型コロナウイルス感染拡大により、当初の予定通り、音韻的現象に的をしぼった対面調査が困難となったため、(万一予定通りの遂行が困難となった場合の案として提案していた通り)すでに収集済みの、長期縦断的データの、形態・統語論的な検討により対象を広げた分析を行うこととした。現在、音韻形態知識の習得と動詞アスペクト別分類・be動詞+原型エラーの発現とアスペクトや文型の関係・さまざまな統語・音韻的複雑さの段階別の名詞句構造習得の順序などを対象に分析結果をまとめ、この成果発表を2023年度に複数の学会発表・シンポジウム講演などで行う。
縦断的なデータ収集は現在も引き続き行われており、上記分析は今後さらなる展開が可能となるよう、データベース化する作業も進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究機関大半が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、対面の調査機会が著しく制限されたため、当初予定していた複数の音韻現象をターゲットとした調査は期間内に遂行することができなかったが、代替策として検討していた、長期縦断データをもとに音韻・形態・統語現象に対象を広げた調査は、方針決定から比較的速やかに、複数のプロジェクトを並行して勧めることができている。その一部については学会シンポジウムでの発表がすでに決定している。
パンデミックが理由で、予定していたハワイ大学との共同ワークショップは中止となったが、別件で協力関係にある国立台湾大学との共同オンラインワークショップ・NTU-UT LINGUISTICS FESTAを開催し、第二言語の音韻現象の分析について 情報交換を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトでは長期縦断データの3~4年分を対象に分析成果を発表することを最終的な目標としたが、データ収集はその後も継続して行われており、より長期的な変化についても今後新たな研究資金を獲得し継続して行いたい。日本語母語話者幼年期から少なくとも6年間継続した英語会話データの分析となる予定であり、我が国で類を見ない貴重な成果となることが期待される。
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