研究課題/領域番号 |
19K21665
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松多 信尚 岡山大学, 教育学域, 教授 (40578697)
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研究分担者 |
廣内 大助 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (50424916)
杉戸 信彦 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50437076)
佐藤 善輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (60751071)
石山 達也 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90356452)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 糸魚川静岡構造線活断層帯 / 神城断層 / 後氷期の環境変化 / 花粉分析 / 珪藻分析 / 古地震 / 飛騨山脈 / 古環境 / 糸魚川―静岡構造線 / 氷期の活動間隔 / 年縞 / ボーリング掘削調査 / 微動探査 / 糸魚川静岡構造線活断層系 / 年稿調査 / 氷期 / 断層活動間隔 / 糸魚川静岡構造線 / 活断層 / 固有地震説 |
研究開始時の研究の概要 |
内陸活断層の長期予測は「定常的なプレート運動を動力源と考えれば活断層は一定の活動度で同様な地震を発生し活動する」とする固有地震説のうえに成立しており、物理法則はない。本研究は内陸活断層の発生を局所的な歪が散在する場に広域な応力がかかることで発生すると考えることで内陸活断層による地震発生パターンに物理的な説明をすることを目指す。具体的には2011年東北日本太平洋沖地震前後の地震活動の変化から地殻の絶対応力は小さいとの説に従い、氷河の荷重も無視出来ないとの考え、氷期に氷河が発達していた北アルプスのふもとに存在していた湖の堆積物から、地震の発生間隔と氷河の消長に伴う荷重の変化との関係を構築する。
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研究実績の概要 |
本年度は、コア分析を受けた年代測定を実施した。その結果、4試料で有効な年代が得られた。これまでに行った測定結果とも矛盾はなく、堆積速度をより詳細に明らかにすることができた。 全体を通しては、当初期待していたような結果は得られなかった。その理由は3つある。まず最も大きかったのは、ボーリング掘削がメタンガスの噴出など不測の事態が発生し、十分なボーリング試料をえることができなかった。二つ目は、ボーリングの結果得られた試料が、既存研究の試料と比べて礫質であり、花粉分析や珪藻分析を実施できない層相が多かった。三つ目として、古環境の指標となる珪藻があまり検出できなかったことがあげられる。古地震との関連性としては、断層近傍の草本の花粉分析から、断層近傍における局所的な環境変化から推測することができた。 当初の目的とは異なるものの、花粉分析結果から神城盆地周辺の後氷期の環境復元を行うことができた。花粉組成変遷から、約16,000年前以降、約12,000年前までに急激に温暖化した後、一時的に寒冷化したと推定できる。既存研究によると、このころの中部山岳地域ではヤンガードリアスの影響が花粉組成や有機炭素含有率の変遷に認められている。本地域でもヤンガードリアスに伴う気候変動が花粉組成に影響を与えている可能性がある。さらに、この温暖化と同時期にブナ属花粉が増加していることから、積雪量の増加が示唆される。また、本研究で掘削したコアに対比できる上盤側の花粉組成との検討を行った結果、活断層の上盤側と下盤側で草本花粉の組成変遷が異なることが明らかになった。活断層近傍における堆積環境の違いが花粉組成の違いとして現れていると考えられる。今後より詳細な分析を継続し、他地域との差を検出し北アルプスの環境復元の局所的な現象を議論していきたい。
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