研究課題/領域番号 |
19K21737
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野坂 大喜 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80302040)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 人工知能 / クリティカルシンキング / AI技術 / artificial intelligence / critical thinking / educational program |
研究開始時の研究の概要 |
AIは自動化や診断の均一化により地域間での医療格差是正に貢献できる一方,非典型症例や稀な症例など充分な教師データが提供できない症例においては偽陰性や誤判定を生じる可能性があるという技術的課題がある。 またAIは過去の診療実績に基づく客観的判断に優れ,移植医療では最適な患者選定に有用である一方,対象患者の社会的要因を考慮できないことが倫理的課題となる。 本研究では,医療AIの特性を理解するスキルとAI診断に対しクリティカル・シンキングをもって結果検証するスキルの向上を図るべく医療系学生向け教育教材と教育手法を研究するとともに,それらスキルの評価方法を研究する。
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研究実績の概要 |
【研究概要】AIを自動診断や最適化治療方針の決定等に活用するための臨床応用研究が始まっている。医療者はAI医療技術の特性に対し深い理解が必要であるとともに、批判的思考を持ってAIが出した解答を検証する能力も必要不可欠となるが、我が国の医療技術者教育においては、医療用AI技術教育やAIに対する医学的クリティカル・シンキング教育も行われていない。そのため本研究では次世代医療に対応できるAI技術能力とクリティカル・シンキング能力を双方兼ね備え、医療AI技術の利点と欠点を理解した上で、利活用を図ることを可能とする医療技術者を養成するための教育プログラム開発を行った。 【研究実績】「医療用AIに対するクリティカル・シンキングスキル開発プログラム」と「医療系学生クリティカル・シンキングスキル評価方法」において昨年度開発したCBT評価について医療系学生を対象とした追加検証を行った。従来法との比較および昨年度データと今年度データとの比較を行った結果、CBT評価の妥当性が確認された。またCBT評価については基礎的クリティカル・シンキングスキルを対象としていたことから、応用スキル評価を可能とする発展型CBTモデルを追加開発した。発展型CBTモデルの評価は次年度にかけて継続評価している。一方『医療用AI特性学習用アクティブラーニングプログラムの研究』については、ラベル付き血球画像2万枚をデータベース化し、医療AI学習プログラムの実践と追加検証を行った。その結果、受講者のデータサイエンススキルは有意に上昇しAI実装レベルに到達していることが確認された。本教育プログラムは現在臨床検査用AIの実践的学習プログラムとなっていることから、看護やリハビリ分野用AI学習プログラムへの横展開については検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である医療用AI特性学習用アクティブラーニングプログラムと医療用AIに対するクリティカル・シンキングスキル開発プログラムの確立において、医療AI学習用教材として2万枚を上回る血球形態データベースを公開するとともに、AI学習用e-Learningコンテンツ化を完了している。クリティカル・シンキングスキル評価用CBTは従来法との比較において同等の評価が可能であり、かつ年度間比較においても有意差は認められなかった。 加えて、本教育プログラムを受講した学生において本研究開始以降10名が医療AI技術に関連した卒業研究を実施し、内2名は国内学会でのAWARDを受賞している。本研究者も2022年度は国際学会において5件の口頭発表、国内学会において2件の発表を行っている。以上のことから、本年度研究もおおむね順調に進展しているといえ、教育プログラムとしてのみならず、医療AI専門人材の育成にも研究成果の展開が図られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、2022年度において2年間分の受講者データの取得が終了し、学習プログラムの妥当性が明らかとなった。教育プログラムの妥当性データやCBT評価結果についての研究成果報告は行っていないことから、2023年度内にデータをとりまとめ、国際学会や国際誌において報告を行う予定である。また本教育プログラムは現在臨床検査用AIの実践的学習プログラムとなっていることから、看護やリハビリ分野用AI学習プログラムとして利用可能とすべく、医療用AI特性学習用アクティブラーニングプログラムを汎用学習プログラムとして共有化を進める予定である。
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