研究課題/領域番号 |
19K21841
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
徳永 将史 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50300885)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 強相関電子系 / サイクロトロン共鳴 / 強磁場 / テラヘルツ光 / トポロジカル半金属 / 磁気共鳴 / トポロジカル物質 |
研究開始時の研究の概要 |
サイクロトロン共鳴は半導体におけるエネルギー状態やキャリアの有効質量を求める実験手段として広く使われてきた。本研究では新たに構築する熱検出型の測定システムを開発することで、その適用範囲を様々な金属的試料に拡大する。その結果としてトポロジカル半金属と呼ばれる物質群におけるバンドトポロジーと電気伝導の関係性の解明や、高温超伝導現象における電子相関効果の役割などを定量的に評価する。
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研究成果の概要 |
高移動度の金属で量子振動とサイクロトロン共鳴をともに測定できれば、電子相関の効果を評価することができる。しかしそのような金属では光が透過しないため、サイクロトロン共鳴の実験は不可能であった。この点を解決するため、磁気共鳴現象を試料温度の変化として検出する熱検出型サイクロトロン共鳴の装置開発を行った。 量子カスケードレーザーを使ったテラヘルツ光の発振と試料部までの伝達には成功した。またこのテラヘルツ光の検出機として用いたガリウム置換ゲルマニウムが光を吸収する過程で発熱する様子をミリ秒オーダーの温度計測で確認した。現状では光源素子の冷却能力が不足しており、今後装置改良で磁気共鳴の検出を目指す。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強相関電子系と呼ばれる物質群は、バンド模型では説明できない様々な物理現象の舞台として大きな注目を集めてきた。その微視的な電子状態を測定する手法として量子振動現象と磁気共鳴がある。本研究では、これまで光が透過しない金属では困難であった磁気共鳴現象を観測するために、試料自体を検出器として使う熱検出型サイクロトロン共鳴の装置開発を行った。本研究ではその基本原理が有効に作用することを示したが、磁気共鳴の観測にはさらなる装置の改良が必要である。今後、この研究で示した方向性が認知されることにより、熱検出型サイクロトロン共鳴が実用化されることを期待する。
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