研究課題/領域番号 |
19K21888
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
力石 嘉人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50455490)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 誘導体化 / 安定同位体比 / 同位体分別 / 有機化合物 / 安定同位体比分析 |
研究開始時の研究の概要 |
有機化合物の安定同位体比(13C/12C,15N/14N等)の解析は,大気・陸・海洋と生物の間でおこる物質(もしくはエネルギー)収支,それらへの人間活動(化石燃料の消費・森林破壊など)の影響評価,海洋や生物を介した二酸化炭素の吸収量の評価などの研究を行うための主要な科学ツールのひとつである。 本研究では,この「有機化合物の安定同位体比」の測定における長年の課題であった「誘導体化(化学修飾)に伴う同位体比の人為的改変」を克服する新たな手法の開発にチャレンジする。 その達成は,有機化合物の安定同位体比分析の適用範囲を劇的に広げ,生物圏の物質循環の様々な研究に新たな展開をもたらすと期待できる。
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研究成果の概要 |
本研究では,誘導体化における同位体比の改変の仕組みの把握を目的に,糖やアミノ酸の代表的な誘導体化である「アシル化」に注目し,基質と誘導体化の濃度バランスと同位体比の関係を実験的に明らかにした。 また,同位体分別の軽減の改変を軽減,および,希釈する手法の導入を目的に,(1) 界面活性剤を用いた同位体比改変の軽減,(2) 官能基の交換による同位体比改変の希釈に挑戦し,実際に,ナノフルオロ吉草酸を添加して行ったアミノ酸のアシル化で,同位体比の改変が軽減されること,および,アミノ酸のアシル基と酢酸イソプロピルのアセチル基の交換反応により,同位体比の改変が希釈されることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
カルボキシル基やヒドロキシル基等の極性官能基をもつ有機化合物に関して,安定同位体比の測定を行うためには,測定を行う前に,極性官能基を化学修飾し,対象の有機化合物の極性を低下させる必要がある。しかし,多くの化学修飾(誘導体化反応)には,安定同位体比の人為的改変のリスクがあり,これが,極性有機化合物の安定同位体比研究を妨げている主因であった。本研究により,この「誘導体化(化学修飾)に伴う同位体比の人為的改変」を克服する2つの新たな手法が開発されたことは,今後,これらの極性有機化合物の安定同位体比を用いた研究が,様々な分野の研究で実用化されていくことが期待される。
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