研究課題/領域番号 |
19K21902
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
羽田 亨 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (30218490)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | レビ過程 / 宇宙線輸送 / 宇宙線加速 / 高エネルギー粒子 / 異常拡散 / 宇宙プラズマ / 異常輸送 / フラクショナル微分 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙プラズマ中ではプラズマと電磁場のマクロな揺らぎを介した相互作用が重要である。特に高エネルギー粒子では、軌道は通常のブラウン運動ではなく、一つの場所に停滞したり、長距離をほぼ直線的に移動したりするような「レビ過程」として記述できる。このような粒子集団の拡散は通常の古典拡散方程式ではなく、フラクショナル微分(非整数階微分)を含むフラクショナル拡散方程式となる。この方程式の数値計算と理論解析をもとに、レビ過程に基づく新しい宇宙プラズマ物理のパラダイムを構築する。
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研究成果の概要 |
宇宙空間での高エネルギー粒子(宇宙線)の運動は、プラズマ乱流に捕捉されて停滞したり、乱流の影響を受けずに長距離をほぼ直線的に移動したりするようなレビ過程として記述できる。このような非ブラウン粒子集団の拡散過程は、古典拡散方程式ではなく、時間または空間微分項に非整数階微分(FD)を含むフラクショナル拡散方程式(FDE)を用いて記述できる。乱流の統計と粒子統計の関係の定量化、FDEの数値解析、衝撃波を含むFDE系による宇宙線衝撃波統計加速、さらに複数衝撃波による宇宙線加速などについて、理論的および数値的な議論をおこなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
宇宙プラズマ中の高エネルギー粒子はレビ過程に基づく記述が妥当であるが、モデルの取り扱いの難しさのため、古典拡散の枠組みを適用して議論することが殆どであった。本研究は、レビ過程やフラクショナル発展方程式などの新概念をベースとして宇宙プラズマ物理の枠組みを再考する新しい試みであり学術的に意義深い。また、結晶中の電子運動等のミクロ現象、宇宙空間での小天体のマクロ運動、さらには数理ファイナンス分野など、多くの分野でレビ過程の概念を用いた議論がなされている。微分方程式の数値解析法についての情報交換など、分野を超えた学術的貢献が期待される。
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