研究課題/領域番号 |
19K22112
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
荒谷 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60372562)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 有機化学 / 複合材料 / アセン / 有機半導体 / ナノグラフェン / ナノカーボン / 曲面π電子系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、「n型半導体特性を有するシート型炭化水素」の開発を目指し、構造の明確な、分子として取り扱うことのできる新しいナノカーボンマテリアルの科学を探究する。球状分子のフラーレンは分子間の接触面積が小さく分子間相互作用が極端に限られ、またほとんどの溶媒に対して難溶性である。本研究ではこれらの課題解決に向け、炭素シートを“曲げる”ことにより溶解性を向上させ、また置換基を導入しないことで固体中での良好な積層を妨げ無いようにする。
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研究成果の概要 |
研究代表者はこれまで多環芳香族炭化水素(PAH)に対する置換基導入による機能化に取り組んでいる。曲面π共役系であるコラニュレンのπ拡張によって、当初の狙い通りフラーレン展開図としての曲面π共役系の創出を達成した。具体的には、コラニュレンから炭素10個分拡張することで、吸収スペクトルと蛍光量子収率を劇的に制御することに成功し、更に炭素20個分の拡張では、単体では見られない電荷移動型の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを見出した。とくに後者はこれまでのπ曲面化合物では見落とされてきた特性であり、今後の分子設計に大きなインパクトを与える発見である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
良く電流を流す有機物は溶けにくい、という化学の常識に挑戦し、研究期間全体を通して、非常にシンプルな炭素シート状化合物の分子設計から様々な特性を引き出すことができた。本研究では、炭素シートを曲げることで溶解性が向上することに着目し、効果的に5員環を導入することで曲面と電子受容性を同時に獲得する戦略に基づき、ボウル型分子であるコラニュレンの縮環多量体の合成により、新規有機n型半導体化合物群の開発に成功した。
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