研究課題/領域番号 |
19K22192
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
|
研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
熊谷 直哉 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主席研究員 (40431887)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | π平面 / グラフェン / 強塩基 / キノリン / 非共有結合性相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノカーボンマテリアルは活発に研究展開されている分子構造体であるが,明示的にデザインされた1原子サイズの空間欠損を有する2次元シート型構造体の合成例は限られている。本研究では,独自にデザインした1原子欠損型平面分子: TQ(TriQuinoline)の化学を展開する。予備的に判明しているTQの物性は構造から単純予測できる常識値とは大きく乖離しており,1原子サイズの空間欠損を有する剛直平面分子の構造がその化学物性に大きく反映されている。本特異分子の物性を実験的に精査し,その構造特性と化学物性の新たな相関パラメータを見出すことで,新奇特異機能を賦与する有益な構造要因として一般化可能と期待される。
|
研究成果の概要 |
TriQuinoline: TQ合成法の抜本的な見直しを行った結果,再現性よく高収率で合成可能なルートの構築に成功した。その物性精査により,予想外の水溶性やプロトンスポンジを遙かに凌駕する強力なプロトン保持能力など,特異物性が明らかとなった。また,平面性多環式芳香族分子のコロネン,湾曲型環状芳香族分子である[12]CPPとそれぞれface-to-faceならびにedge-to-face型の超分子錯体を形成し,DNAに対するインタカレーションも観測された。予備的な生物活性評価においてin vitro実験での腫瘍細胞増殖抑制作用も確認され,新骨格の抗腫瘍化合物のリードとなると期待される。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により今までに存在しない分子骨格が化学合成され,その構造特性に基づく特殊物性が明らかとなった。強固なプロトン保持能や超分子形成能は,環境中の有害多環式芳香族化合物の選択除去剤開発への応用研究が見込まれ,強力なDNAインターカレーション活性に基づく抗腫瘍活性は,新たな分子骨格を有する新規抗がん剤リードとして更なる研究展開が期待される。未知の分子骨格を探索する萌芽的研究であると同時に,標的化合物を成功裡に導出・合成するに至った本研究はその学術的意義の証明のみならず,今後の人類福祉に資する社会的意義を持つと言える研究成果であったと言える。
|