研究課題/領域番号 |
19K22212
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
落合 文吾 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (20361272)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 生分解性材料 / 熱硬化性樹脂 / エポキシ / ポリエステル / 生分解 / エステル / グリシド酸 / 生分解性 / 熱硬化樹脂 / 環境適合性 / マイクロプラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
大きな環境問題となっている海洋等へのプラスチックの堆積の解決に向け、通常の使用時に数日程度は水中でも劣化しない、化学的に安定な熱硬化性樹脂、長期的には生分解ないしは加水分解される、全ての代謝物が安全、というこれまでにない材料を開発する。鍵となる物質は、グリシド酸エステルであり、多様な化合物が安価に入手できるアクリレートの酸化により容易に合成できるエポキシである。酸無水物との硬化により、架橋ポリエステルを合成する。ここで、代謝物となり得る成分に、安全な物質を用いれば、環境への負荷がなくなる。機械的・化学的強度と分解性を両立させるために、分子設計を綿密に行い、新規材料の開発に挑戦する。
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研究成果の概要 |
グリシド酸エステルと酸無水物の硬化系を基盤とする、環境中でゆるやかに分解され、通常の条件では安定な熱硬化樹脂を開発できた。モデル反応から、本硬化はグリシド酸エステルと酸無水物の交互的な共重合で進行しており、主鎖がポリエステルであることがわかった。この硬化物は、金属および難接着性のポリマーに対して既製品に劣らない優れた接着力を持つことがわかった。また、中性の水中では分解しないが、堆肥中では完全に分解された。この現象は汎用的に用いられているグリシジルエーテルの硬化物では起きず、本系が環境中での分解性と優れた力学特性を併せ持つ新規材料であることを明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた材料は、優れた力学特性と環境中での分解性を両立した新規熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂はその堅牢さが故に環境中に残存しやすいが、適切な条件下では微生物で分解できる材料を開発することができた。今後酸無水物構造をさらに変更すれば、全骨格が代謝される熱硬化性樹脂を開発可能であり、プラスチックによる環境負荷を低減可能である。
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