研究課題/領域番号 |
19K22396
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
秋田 総理 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (50751418)
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研究分担者 |
宮崎 直幸 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (00634677)
加藤 公児 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (30452428)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 光合成 / 光化学系 / クライオ電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
クライオ電子顕微鏡の単粒子構造解析法を用いて、光化学系II (PSII)の反応中間体の構造を解明する。凍結グリッド作成装置内で、PSII試料へレーザー照射した後に、瞬時にサンプルを凍結することで、反応中間体を捕捉し、単粒子構造解析法で反応中間体の構造を解析する。PSII反応中間体の構造解析は主にX線自由電子レーザーで行われているが、結晶中のS状態遷移効率の低下により、3閃光照射以降の構造変化を解析する事が困難である。本システムは、光によって励起されるタンパク質の構造変化をクライオ電顕で解析する世界的にも初の試みであり、今後の解析のモデルとなる事が期待される 。
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研究成果の概要 |
本課題では、シアノバクテリアからPSIIを精製し、クライオ電子顕微鏡CryoARM300で約2,000イメージを撮影し、X線結晶構造解析の1.9に匹敵する1.95オングストロームのクライオ電顕マップが得られた。このマップには、PSIIの両端のPsbYサブユニットが完全な形で現れていた。そのため、クライオ電顕マップはより生体内に近い状態を示していると考えられた。しかし、測定に使用した電子線量ではPSIIの一部に損傷が見られた。そこで、イメージのフレーム数を変え、電子線量を減らして再計算したところ、2.08オングストロームという高分解能を保ったまま、損傷の少ないマップを得ることに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本課題では、当初予定していたマンガンクラスター中の原子の判別が可能な2.5オングストロームを超える1.95オングストロームのデータを収集することができた。PSIIに対して光照射を行ない、水分解・酸素発生中間体の構造変化を解析することはできなかったが、中間体の構造を解明するために必要な技術や損傷の少ないデータを得るなど、基盤となる結果が得られた。シアノバクテリアや植物などの光合成生物による光合成のメカニズムを解明することは、人工光合成などのエネルギー供給基盤を構築するために非常に重要である。本研究成果は、太陽光エネルギーを有効活用するための技術開発に重要な知見を与えると期待できる。
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