研究課題/領域番号 |
19K22444
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深澤 遊 東北大学, 農学研究科, 助教 (30594808)
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研究分担者 |
上村 真由子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60444569)
井手 淳一郎 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (70606756)
三浦 政司 鳥取大学, 地域価値創造研究教育機構, 准教授 (80623537)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 菌類 / 競争 / シミュレーション / 炭素配分 / トレードオフ / 分解 / 菌種間競争 / 炭素配分戦略 / 白色腐朽菌 / 褐色腐朽菌 / 枯死木分解 / 菌糸体 / 資源利用効率 / 二酸化炭素 / 二次代謝産物 / 競争モデル |
研究開始時の研究の概要 |
種間競争は生物群集を形作る上で重要なメカニズムの一つだが、菌類では種間競争を説明する有効なモデルが未だ提案されていない。動物や植物と異なり、生息基質が食物資源でもある菌類の種間競争の理解には、空間獲得競争と資源利用を基軸とした新たなモデルが必要とされている。菌糸体同士が遭遇すると、菌糸体の高密度化や二次代謝物質・酵素の生産、CO2放出が活発になることから、種間競争は菌糸体にとって炭素コストになると考えられている。本研究では、競争時の菌類の炭素配分と資源利用を測定することで競争コストを推定し、有機物分解との関係を含んだ新しい競争モデルを提案する足がかりとする。
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研究成果の概要 |
炭素配分の異なる菌種間競争をエージェントベースなアプローチによって記述し、競争を伴う群集構造形成や材分解プロセスを理解するためのコンピュータシミュレーションモデルの構築に取り組んだ。構築したモデルは菌糸体をエージェントとし、生長や二次代謝物質の生産・栄養の運搬などをエージェントの行動ルールとして記述した。また、二次代謝物質が他菌種の生長に及ぼす影響を相互作用として記述したり、温度環境による行動ルールの変化などをモデルに取り入れた。このようなモデルに基づいて、これまでに2種の種間競争を再現できるグラフィカルなシミュレータを開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
菌種間競争を説明する有効なモデルの構築は長年追求されてきた研究課題であるが、これまで化学分析や遺伝子解析等における技術的な限界のために明確なモデルを示すことができなかった。本研究は、複雑な菌類群集の分解機能という生態学的に極めて重要なテーマにおける有効なブレイクスルーを提案できると考えられ、挑戦する意義は大きい。その成果からは、温暖化による炭素循環への影響の予測精度向上や、効率的なバイオマスエネルギー変換法など、様々な分野への応用が期待できる。
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