研究課題
挑戦的研究(萌芽)
オートファジーは、細胞が飢餓ストレスなどに曝された際に受動的に活性化される、細胞生存のための防御システムという考えが支配的である。一方、申請者は、炎症反応時に誘導される遺伝子がオートファジーを促進することを見出した。その後の解析により、この遺伝子が”能動的に”オートファジーを誘導し、細胞内代謝リモデリングを引き起こして細胞増殖を促進することがわかった。本研究ではこの遺伝子の機能解析を行い、オートファジーの新たな機能を解明する。
オートファジーは、細胞の飢餓応答の際にタンパク質などの構成成分を分解し栄養素のリサイクリングを行う現象として広く知られている。我々は、炎症性サイトカインIL-1の刺激によって、細胞のオートファジーが誘導されることを見出した。IL-1刺激によって活性化する遺伝子発現誘導因子NF-κBを阻害するとオートファジーが抑制されたことから、NF-κB標的遺伝子がオートファジーに関与すると考え解析を行った。その結果、飢餓応答非依存的にオートファジーを誘導する新規因子SIAIFを発見した。この遺伝子は、能動的にオートファジーを誘導して細胞内代謝リモデリングを導き細胞増殖を促進することがわかった。
本研究によって発見された新規オートファジー誘導因子は、がん細胞において高く発現しており、がん細胞の増殖を促進することが明らかとなった。従って、この因子を阻害することにより、がん細胞の増殖性を低下させ、がん組織を退縮させることができると期待される。すなわち、本研究成果はがんの新しい治療法開発につながる可能性があり、社会に貢献できると考えられる。
すべて 2022 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
J. Cell. Mol. Med.
巻: - 号: 9 ページ: 2686-2697
10.1111/jcmm.17279
J. Cell. Biochem.
巻: - 号: 6 ページ: 1064-1076
10.1002/jcb.30251
FASEB J.
巻: 35 号: 11
10.1096/fj.202100679rr
Journal of Cellular and Molecular Medicine
巻: 25 号: 3 ページ: 1677-1687
10.1111/jcmm.16270
Scientific Reports
巻: 11 号: 1 ページ: 2626-2626
10.1038/s41598-021-82189-1
Journal of Biological Chemistry
巻: 295 号: 26 ページ: 8798-8807
10.1074/jbc.ra120.012781
Frontiers in Oncology
巻: 10 ページ: 1266-1266
10.3389/fonc.2020.01266
Cellular Signalling
巻: 75 ページ: 109774-109774
10.1016/j.cellsig.2020.109774