研究課題/領域番号 |
19K22494
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 認知機能障害 / 多発性硬化症 / 脳血管疾患 / 白質傷害 / CNS炎症 / グリア細胞 / TRPM3 / RNAシーケンス / 細胞種選択的除去 / ジフテリア毒素 / 脱髄性疾患 / エンドセリン-1 / 脳虚血 / 特定的細胞除去 / サイトカイン / 中枢神経疾患 / 脱髄 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、認知症を含む認知機能障害の病態に深く関連する細胞群として、従来の研究ではほとんど重要視されてこなかったオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)に焦点を当てる。神経細胞周囲の支持細胞であるグリア細胞のうち、髄鞘形成細胞であるオリゴデンドロサイトの前駆細胞であるOPCは、髄鞘形成によってのみ機能を発揮するのではなく、サイトカイン/神経栄養因子等の放出を介して脳内で多様な役割を示していることが示されつつあるが、その病態生理学的な役割は不明な点が多い。本研究ではOPCが認知症を含む中枢神経疾患の病態において、神経/グリア連関異常に対して多面的な作用を発揮する可能性を視野にいれて研究を進める。
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研究成果の概要 |
白質傷害すなわち脱髄/髄鞘機能不全は、多発性硬化症等の中枢脱髄性疾患のみならず、認知症等の他の中枢神経疾患においても治療介入すべき重要な病変として注目されつつある。髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトの前駆細胞であるOPCの数の増加や細胞活性化は、これらの中枢神経疾患の病態改善に資すると考えられてきたが、本研究結果により、脳血管障害の虚血部位周辺に多数のTrpm3陽性OPCが未分化状態で存在すること、多発性硬化症モデルの発症急性期におけるOPCの選択的除去が臨床スコアの悪化を抑制することが示され、OPCが予想に反して、時期特異的に中枢神経疾患の病態悪化に寄与している可能性もあることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
髄鞘(ミエリン鞘)は、神経線維の周囲を取り囲む絶縁体であり、線維の保護だけでなく、情報伝達を飛躍的に効率化する役割も担っています。近年、この髄鞘の機能が、多発性硬化症などの中枢脱髄性疾患のみならず、認知症など他の中枢神経疾患でも起きていることが判明しつつあります。髄鞘はオリゴデンドロサイトにより作られ、それはオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)から分化・成熟することから、OPC数の増加や活性化はこれら疾患の改善につながると信じられてきましたが、本研究により、必ずしもそうではないことがわかりました。今後は各病態特異的にOPCの挙動を適正化することが、新たな疾患治療戦略となるのかもしれません。
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