研究課題/領域番号 |
19K22533
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
河合 太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50456935)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 自然免疫 / 腫瘍 / 樹状細胞 / RNA結合タンパク質 / 抗腫瘍免疫 / 免疫逃避 / 腫瘍免疫 / RNA / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞は免疫系で認識され排除される一方、免疫細胞の腫瘍内浸潤や活性化を抑制する機構を備えており免疫系からの攻撃を回避している。我々は、RNA結合タンパク質Hu antigen R (HuR; 別名ELAV1)を欠損させた肺がん細胞を移植したマウスでは、腫瘍免疫系が活性化している知見を得た。本研究では、HuR欠損がん細胞で発現が減少している遺伝子群の中から免疫抑制に関わると予想される細胞表面分子等を抽出し、それらを個々に欠損したLLC細胞を樹立し、マウスへと移植することで、その後の腫瘍免疫誘導を検討し、新たなチェックポイント分子の発見に繋げる。
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研究成果の概要 |
がん細胞の持つ免疫逃避機構に着目し、免疫抑制的に働く新たな遺伝子の探索とその作用機序の解明を目的に解析を行った。mRNA安定化に寄与するHuRを欠損させたLLC細胞(マウス肺がん細胞)を移植したマウスでは、対照LLC細胞と比べキラーT細胞の腫瘍組織内浸潤が有意に増加するとともに腫瘍体積が減少することを見出した。そこで、HuR標的遺伝子を探索したところケモカインCCL2を得た。CCL2欠損によりがん組織の成長抑制が見られるとともに、がん組織内でのマクロファージの減少とキラーT細胞増加が認められたことから、LLC細胞はHuRを介してCCL2発現を増加させ免疫監視を逃避していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回、がんによる免疫逃避機構の一つとしてHuRを介したCCL2発現誘導が存在することが示唆された。本研究は抗腫瘍免疫応答の分子機構の一つを明らかにしたという学術的意義にとどまらず、HuRやCCL2が新たな免疫チェックポイント阻害剤の標的となり得ることを示唆している点で大きな社会的意義もある。
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