研究課題/領域番号 |
19K22538
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
保田 朋波流 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (40334429)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | B細胞 / 免疫老化 / 免疫寿命 / 細胞老化 / 免疫応答 / リンパ腫 / 細胞分裂 / 体細胞変異 / 抗体 / クローン選択 / 老化 / 細胞寿命 |
研究開始時の研究の概要 |
機能分化した細胞を生体内で不可逆かつ選択的に標識することで生涯追跡する技術を開発し、細胞寿命や分化、細胞の入れ替え速度、新旧細胞間相互作用を時間的要素を加えて解析する。これまで生まれた時期の区別なく解析されてきた細胞の機能的役割について、細胞年齢との関係性、あるいは形成時期が異なる細胞間における相互作用や競合を調べる。本研究では抗体産生機能を有したB細胞を対象に研究開発と解析を行うことで免疫記憶の成り立ちと抗体選択のメカニズムを明らかにする。このような解析を通じて個体生涯における細胞構成の変遷や相互制御を浮き彫りにし、個体老化や生理機能の理解に役立てる。
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研究成果の概要 |
標識したEYFP発現B細胞が免疫系によって拒絶されることが懸念されたが、拒絶に重要なT細胞は活性化されず、標識から180日以上を経過しても標識B細胞が免疫系から拒絶されなかった。このことから分化したB細胞の標識および寿命の絶対計測が本システムにおいて可能であることが確認できた。標識したB細胞を1年に渡って追跡した結果、若齢の間は短期間でB細胞が入れ替わるものの個体の加齢が進むにつれて入れ替わりの速度が低下することがわかった。また抗原に未感作のB細胞がこれまでに考えられていたよりもはるかに長期に渡って未感作のまま生体内に残存することを初めて突き止めることに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
外来抗原に特異的な免疫記憶(抗体産生細胞、記憶B細胞、記憶T細胞から構成される)を形成する個々の細胞が維持される期間を明らかにすることは、免疫記憶の成り立ちを理解する根幹に関わりその重要性は明白である。記憶細胞の生存期間が定量化できるようになれば、生存期間ごとに細胞を解析できるようになるため特定細胞の長期生存を可能にする分子メカニズムに迫ることもできる。このような解析を進めていくことで免疫記憶の成り立ちや抗体選択のメカニズムのさらなる理解に貢献し、効果的なワクチン開発、アレルギーや自己免疫などの疾患治療に役立つことが期待できる。
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