研究課題/領域番号 |
19K22558
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大島 正伸 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (40324610)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | TGF-β / アクチビン / 大腸版 / オルガノイド / 大腸がん / TGF-beta / がん抑制 / 悪性化進展 |
研究開始時の研究の概要 |
TGF-betaは消化管上皮細胞の分化誘導により、大腸がんのがん抑制遺伝子として機能する。一方で、上皮間葉転換(EMT)により悪性化を誘導する因子でもある。本研究では、このようなTGF-betaによる大腸がん悪性化抑制または促進作用を制御するスイッチ機構としてp53遺伝子変異に着目する。すなわち、異なる型のp53変異の存在により、大腸がん細胞がTGF-betaに対してどう反応するのか、マウスおよびヒト腸管腫瘍組織由来オルガノイドを用いて、マトリゲル中での構造変化解析と、マウスにおける肝転移巣の解析により明らかにする。
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研究成果の概要 |
TGF-βは上皮細胞の分化誘導により大腸がん発生に対してがん抑制性に作用する。一方で、TGF-βはがん細胞の上皮間葉転換(EMT)誘導により悪性化を誘導する。本研究では、TGF-βファミリーのアクチビンに着目し、ドライバー変異を導入したマウス腸管腫瘍オルガノイドを用いて研究を実施した。アクチビンは良性腫瘍細胞のオルガノイド形成を抑制したが、Kras変異により悪性化形質を獲得したオルガノイドは耐性を示し、さらにp53変異を持つ転移性オルガノイドに対してはEMT様形態変化を誘導した。したがって、Krasとp53変異の蓄積がTGF-βに対する反応スイッチ制御に関わると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
TGF-βはがん細胞のEMT誘導により転移形成に関与すると考えられることから、その阻害薬ががん悪性化に対する治療薬として期待されている。一方で、TGF-βには上皮細胞の分化誘導機能による、がん抑制性の作用が知られており、TGF-βシグナルの亢進ががん予防に作用すると考えらえる。このように相反するTGF-βシグナルの機能について、本研究ではアクチビンに着目した研究を推進し、がん細胞に導入されたドライバー遺伝子変異に依存した制御の可能性を明らかにした。この結果は、がん発生と悪性化の分子機構の解明に貢献し、TGF-β阻害薬等による将来の治療戦略の確立にも重要な知見となる。
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