研究課題
挑戦的研究(萌芽)
脳出血の病態理解は, 近年劇的に変容した.脳出血の発症には未知の因子が関与しており,その診断・治療法の開発にもパラダイムシフトが必要と考えられている.申請者らは,コラーゲン結合蛋白Cnmを産生する齲蝕原性細菌が脳出血および脳微小出血に強く相関することを見出したことから,更なる研究開発を進めることで,脳出血の分子標的予防法を開発できる可能性が高く,まずはその病態モデルを確立し,脳出血発症の機序を明らかにすることを目指す.
脳卒中で当センターに入院した患者から同意を得て歯垢を採取し、その中に含まれるミュータンス菌を培養し、cnm陽性ミュータンス菌と経時的な微小脳出血の出現率の関係を調査した。その結果、cnm陽性ミュータンス菌が歯垢中から検出された患者では、そうでない患者と比較して、微小脳出血の出現率が4.7倍高いことが明らかになった。この「悪玉むし歯菌」は、生活習慣や年齢の影響によってほころびが出た脳血管のコラーゲンに接着し、炎症を起こし、出血を止める血小板の働きを抑制することで脳出血を引き起こすのではないかと考えられた。
今回、cnm陽性ミュータンス菌と脳出血との関係を明らかにできたことから、脳卒中の機序の解明に寄与するものと考えられる。現在、cnm陽性ミュータンス菌によって脳出血が引き起こされるメカニズムを探索する基礎研究や、国内15施設と協力して進めている多施設前向き研究、アフリカ、東南アジアを含む世界中の他人種・地域における本菌の役割を検討する国際共同観察研究を実施している。我が国では欧米諸国と比べてまだまだ脳出血が多く、口腔内の悪玉むし歯菌を減らすために、口腔内環境を整えることが有効であると考えられる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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