研究課題/領域番号 |
19K22638
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新井 文用 九州大学, 医学研究院, 教授 (90365403)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 造血幹細胞 / 白血病幹細胞 / TIN2 / ミトコンドリア / 活性酸素種 / シェルタリン / POT1 / シェルタリン因子 / 代謝制御 |
研究開始時の研究の概要 |
白血病幹細胞は正常造血幹細胞とは異なり、ミトコンドリアに局在するTIN2がエネルギー代謝を制御し、増殖・維持に寄与している可能性が考えられる。本研究では、白血病幹細胞におけるミトコンドリアTIN2の機能実態を明らかにするとともに、ROSに対する抵抗性・生存優位性を規定する機構を解明する。特に、ミトコンドリアTIN2によって誘導される代謝制御因子および抗アポトーシス因子を同定する。さらに、TIN2の細胞内局在の制御による白血病幹細胞の特異的除去について検討を進める。また、正常造血幹細胞との「違い」を基に、がん治療のための新規標的を同定し、がん幹細胞の選択的除去に向けた技術基盤の確立を目指す。
|
研究成果の概要 |
我々は、シェルタリン因子TIN2がミトコンドリアに移行すると、活性酸素種の産生を亢進させて、造血幹細胞の自己複製能を低下させることを明らかにした。また、別のシェルタリン因子POT1とTPP1は、TIN2のミトコンドリア移行を抑制することを見いだした。 一方、白血病幹細胞(L-GMP)では、ミトコンドリアTIN2が増加し、エネルギー代謝を制御している可能性が考えられた。しかしながら、L-GMPにTIN2を過剰発現させると、増殖が抑制されたことから、さらなる検討が必要であると考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、シェルタリン因子TIN2がミトコンドリアに移行した場合、正常造血幹細胞では自己複製を抑制するが、白血病幹細胞では増殖に働くということを見出している。ミトコンドリアTIN2が正常幹細胞とがん幹細胞で異なる作用をもつという点は、新規性の高い成果であると考えられる。 今後、TPP1とPOT1aのタンパク導入によるミトコンドリアTIN2の機能抑制は、正常造血幹細胞の体外増幅と白血病幹細胞の抑制の両方に応用が可能であり、再生医療とがん治療の発展に同時に貢献出来ると考えられる。
|