研究課題/領域番号 |
19K22974
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
小島 伸彦 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (90342956)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 赤血球 / 赤血球ゴースト / ALDH2 / レンチウイルス / 強制発現 / 遺伝子治療 / 赤芽球 / 代謝機能 / 移植 / ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、先天的な遺伝子多型を輸血による赤血球の移植によって治療するという、ユニークなコンセプトの治療法を提案・検証することを目的とする。具体的には肝臓の代謝機能を付与した赤血球を血液中に移植することで、肝臓機能を回復・亢進させるシステムの可能性を検討する。従来の遺伝子治療よりも安全で簡便に移植が行えるため、例えば「お酒に弱い」などこれまで治療の対象にならなかった「体質」の改善にも活用でき、クオリティ・オブ・ライフを飛躍的に高める可能性を秘めた取り組みである。
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研究成果の概要 |
肝代謝酵素、例えばALDH2の多型によって、多くの日本人はアルコールに弱いという体質を持つ。肝臓移植を行うほどではないこのような「体質」は生まれつきのものとして受け入れるしかなかった。本研究では体質に悩まなくてもよくなる社会を目指して、「肝機能を付与した赤血球を血液中に輸血する」という手法を提案・検証することを目的とした。当初は赤芽球の段階で野生型ALDH2を発現させることを計画したが、途中で赤血球ゴーストにALDH2タンパク質を封入するアプローチへと変更した。赤血球ゴーストにタンパク質を封入する条件については検討が完了し、機能的なALDH2を作製するところまで研究が進んだ。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝臓の代謝酵素には多型が存在し、これによって様々な疾患や体質が生じる。重篤な症状を伴う場合は肝臓移植が実施されるが、生涯にわたって厳しい食事制限を強いられる場合でも、肝臓移植が適用にならないケースも多い。代替法として、血液中に代謝酵素を投与する酵素補充療法があるが、酵素が分解されやすく毎日の投与が必要となる。本研究の方法論では、代謝酵素を赤血球の細胞膜で包むため血液中での安定性が増すことや、補酵素をともに充填して酵素活性を高めることが期待できる。代謝酵素の多型は我々の生活を制約する運命そのものである。本研究成果は運命に左右されずに生活できる社会の実現に繋がるものである。
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