研究課題/領域番号 |
19K23255
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
大野 光子 立教大学, 社会学部, 特定課題研究員 (70846203)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 都市エスニシティ / エスニック・コミュニティ / 移民研究 / 社会的多様性 / 国際退職移住者 / トランスナショナリズム / 移民 / インナーシティ / 社会的包摂 / 都市エスニシティ研究 / トランスナショナル |
研究開始時の研究の概要 |
近年の英語圏における移民研究では、トランスナショナルな移住者とホスト社会の関係性を重要視する視点である「社会的結束性(Social Cohesion)」の概念に注目が集まり、彼らとホスト社会の連帯をいかに発展させるかが活発に議論されている。日本では、1980年代後半以降外国人人口が急増し、その後定住化していくなかで彼ら独自のビジネスやコミュニティが発展してきたが、他方で地元商店街や近隣コミュニティとの関わりが乏しいのが現状だ。 以上のような問題意識を背景として、本研究は、日本におけるトランスナショナルな移住者とホスト社会の関係性や連帯の可能性について、調査・分析する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的を遂行するため、2022年度において次のような研究活動を実施した。 2019年度より、新宿の大久保にあるハラルショップにおけるサービスエンカウンターの相互行為分析に着手した。当該エリアにおけるネパール人が経営するハラルショップにおいて、サービスエンカウンターでの店員(ネパール人)と客(日本人を含む多様なエスニシティ)のやり取りを一定期間に渡りビデオ撮影した。この研究は、移民を話者とする第二言語としての日本語が、ホスト社会においてどのように使われまた機能しているのかといった視点から、二者間(移民とホスト社会)の関係性にアプローチすることを企図している。2021年度、これまでの研究成果として、第94回日本社会学会大会(2021年11月)において、報告を行った後、データの追加収集の必要が明らかになった為、2022年度にかけて、調査協力者とデータの再収集方法について改めて打合せを重ね、新たなデータ収集について承諾を得た。その後、大学の倫理審査委員会において、データの再収集に関わる倫理審査を申請し承認を得たが、調査協力者が日本国内にいるタイミングが掴めず年度内の調査の実施は叶わなかった。 2022年度後半は、「国際退職移住」を対象とした調査を2度、タイにおいて実施した。日本人会のインタヴュー調査、また、チェンマイにおいて、13名の日本人高齢移住者のライフヒストリーインタヴューを実施した。彼らとホスト社会の関わり方、医療・介護や保険制度の課題を明らかにした。これらの結果をもとに、トランスナショナルな高齢化社会における、グローバル・マイグレーションとホスト社会の関係性について考察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大防止措置の影響の下、2022年度前半は、海外で予定されていた全ての調査が中止となった為、研究の進行が低下した。また国内調査は、既にラポールが形成されていた対象者への継続調査のみとなり、新たなデータの取得が困難であった。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)新宿の大久保エリアのハラルショップにおける相互行為に関するデータの再収集及びそれに関する分析を再開し、学会での報告と学会誌への論文投稿を企図する。また、大久保でのフィールドワーク、インタヴュー調査を再開し、商店会や町内会のメンバーなど地元住民に対する対面でのインタヴュー調査を行う。 (2)2022年度に実施した、日本人退職移住者のインタヴュー・データ13件の整序・分析を進め、グローバル・マイグレーションのホスト社会の適応過程に関する論文を執筆、投稿する。 但し、以上の計画遂行には、新型コロナウィルスのパンデミックの再発がないことが条件となる。もしも再発した場合、オンラインのインタヴュー調査に切り替える等の対策を講じる。しかし、既に取得済みのデータの分析に限定された場合でも、研究の目的に沿った一定の成果を上げることが可能である。
|