研究課題/領域番号 |
19K23450
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北島 謙生 北海道大学, 低温科学研究所, 博士研究員 (70845445)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 核スピン / オルソパラ比 / アンモニア / 硫化水素 / 彗星氷 |
研究開始時の研究の概要 |
彗星氷は太陽系が形成された初期環境に関する情報を持つとされる.天文学の分野では長い間,彗星コマに存在するH2OやNH3のオルソ/パラ比はそれらが生成された際の氷表面での値を保持するとされ,分子生成時の氷星間塵表面温度を知るためのプローブと考えられてきた.しかし近年の研究から,H2Oのように分子が氷表面と強い結合を持つ場合はこの仮説が成り立たないことが示唆された.本研究ではH2Oよりも弱い結合を持つ分子としてNH3に着目し,氷表面から脱離したNH3のオルソ/パラ比が氷表面温度を反映するか明らかにする.
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研究成果の概要 |
極低温の氷表面から脱離した水素原子を含む分子種のオルソパラ比(O/P比)を測定し,その値が氷表面温度を反映するプローブとなりうるかを調べた.もし得られたO/P比が統計重率(3/1)と異なる値であれば氷表面温度を反映していると考えられる.ところが近年のH2Oの実験では,光脱離した分子のO/P比は常に3/1であるという結果が示唆された.そこで本研究ではH2SやNH3といった水素を含む分子に対しても同様に測定し,光脱離した分子のO/P比を確かめたところ,H2Oと同様にその値は3/1であるという実験結果を得た.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の天文学では氷表面から脱離した分子のO/P比は,分子生成時の氷の表面温度を反映した値であるとされてきた.その結果から太陽系初期温度が推定されてきた.しかし本研究では,氷表面から脱離した分子のO/P比は,氷表面温度によらず,統計重率(3/1)であるという結果が示された.これは,従来のH2Oの測定結果で示唆されたように,太陽系初期温度を分子のO/P比から推定する天文学的なアプローチを再検討する必要性を示している.
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