研究課題/領域番号 |
19K23487
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0301:材料力学、生産工学、設計工学、流体工学、熱工学、機械力学、ロボティクス、航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
新里 秀平 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (10853202)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 転位上昇 / 時間拡張モデリング / ナノ構造材料 / 原子モデリング / 転位の上昇運動 |
研究開始時の研究の概要 |
結晶材料中の線欠陥である転位の運動は材料の塑性変形の主たる素過程であり、高温ではすべり面外に移動する特異な上昇運動をすることで高温特有の塑性変形をもたらすことが知られている。しかし、近年ではナノ材料において室温環境下でも転位の上昇運動が発生するという非常に特異な現象が発見された。これは、室温下ではこれまで全く予測されていなかった変形機構であり、ナノ構造物を実用環境下で利用するうえで解明すべき非常に重要な新奇現象である。しかし現状では、転位の上昇メカニズムの原子論的詳細は未解明である。本研究では、時間拡張モデリング手法を用いることで転位の上昇運動機構のエネルギー論的解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本課題では,ナノスケール結晶金属材料中の転位上昇プロセスを対象とした時間拡張原子モデリングを実施し,転位上昇の律速過程の原子論的メカニズムについて検討した.具体的には,異なる2種類の時間拡張原子モデリング手法を用いて段階的に転位上昇プロセスにおける原子の運動に関する知見を得ることで,ナノスケール材料において従来の転位上昇プロセスとは異なるメカニズムでの転位上昇が発生する可能性が示唆された.本課題の遂行により得られたナノスケール結晶金属材料における転位上昇プロセスの原子描像に関する知見は,ナノスケール材料に特異な塑性変形プロセスの解明において役立つものと期待する.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナノスケール材料はその優れた化学特性から近年エレクトロニクス分野やエネルギー分野で広く応用が試みられており,また力学特性に関しても従来のマクロ材料と比べ優れていることから実用化が期待されている.したがって,力学的負荷を受ける環境下での挙動を予測することはナノスケール材料を利用するうえで重要である.本課題では,近年実験において観察されたナノスケール材料特有の特異な変形現象である室温での転位上昇に着目し,その原子論的メカニズムの調査を実施した.本課題で得られた成果は実用環境下におけるナノ材料の強度や寿命を予測するうえで役立つ知見となる.
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