研究課題/領域番号 |
19K23609
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0403:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
浜田 隆志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (80849498)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バイオ人工胆管 / scaffold-free / 総胆管の置換 / バイオ3Dプリンター / ブタ線維芽細胞 / 人工胆管 / ブタ線維芽細胞培養 |
研究開始時の研究の概要 |
術後胆管狭窄に対しては、狭窄部へのステント治療が施されるが、ステント閉塞時の緊急交換やそうでない場合でも定期的な交換が必要となり、患者のQOLは著しく低下する。そこで、人工物によって作製された構造体によって狭窄部を置換する方法を用いた胆管再生が近年報告されているが、いまだに臨床応用はされていない。本研究では胆管狭窄の治療に応用可能となる細胞のみで構成されたバイオ人工胆管の創製を目的とした。具体的にはブタの真皮から線維芽細胞を分離・増殖させ、バイオ3Dプリンター技術を利用して線維芽細胞のみから構成された管状の構造体を作製し、ブタ胆管吻合モデルへの移植により胆管狭窄治療が可能であることを実証する。
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研究成果の概要 |
家畜ブタの皮膚から線維芽細胞を培養し、バイオ3Dプリンターによってブタ由来線維芽細胞のみの管腔構造体(バイオ人工胆管)を作製した。次にブタの総胆管(肝臓から消化管へ流れる胆汁の通り道)を切離し同部位にバイオ人工胆管を移植し、術後2週目に肝臓を含めて摘出し評価を行った。 結果、移植前後での血液検査では肝機能に異常は認められず、さらに移植された総胆管の胆道造影検査では造影剤の漏れや狭窄所見を認めなかった。病理組織学的検査ではバイオ人工胆管を確認でき、連続性を確認した。また、バイオ人工胆管周囲組織に血管新生を認めた。従って、バイオ人工胆管の作製、移植に成功したと考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胆道手術や肝移植における胆管胆管吻合の合併症として胆道狭窄が生じることがある。胆道狭窄を解決するため、生体ポリマーやscaffold(細胞の接着、増殖、分化を制御するための細胞培養基材であり足場、骨格のようなもの)を利用した様々な人工胆管の研究があるが、現在までに臨床応用されているものはない。そこで今回、胆管狭窄部を置換可能なscaffold-freeである細胞のみで構成されたバイオ人工胆管を作製し、ブタへの移植(総胆管の置換)に成功した。今後この研究が進めば、実際の臨床現場での人工胆管移植が実現し、これまで困難であった胆管吻合の合併症の治療の一助になる可能性がある。
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