研究課題
研究活動スタート支援
高齢化社会に突入した今日、加齢に伴う様々な疾病が急増している。パーキンソン病もまた有病率の上昇が確実視されるなか新規治療法の開発が急務である。それには病態に基づいた治療介入が早道であるのは間違いないが、その病理学的特徴である凝集体の形成が神経細胞にとって保護的に働くのか、毒性に作用するのか謎である。そこで本研究ではモデルマウスを応用し、凝集体の形成が神経細胞死につながる(毒性)との病態仮説に解を得る。その際、凝集体形成抑制効果のあるシャペロンタンパク質に着眼し、凝集体の挙動と神経細胞死への影響を明らかにする。本研究で得られた成果により、パーキンソン病の新たな治療戦略への道を切り開く。
すでにヒトに対して効果のあることが知られている既知の化学合成シャペロンに着目し、それら薬剤をパーキンソン病モデルマウスに投与してin vivoにおける凝集体抑制効果を判定した。5週齢以上のマウスに合成シャペロンを投与しても減少は観察されず、凝集抑制効果に対 するタイムコース測定の結果から、連続2週間において効果は飽和したことを明らかにした。
本研究は適正な高次構造の形成を補助する合成化学物質であるシャペロンタンパク質に着目し投与実験を行っており、マウスを使用した実験は新規性が高い。オートファジーの破綻によって形成された凝集体の神経細胞に対する毒性効果が立証されれば、凝集体形成抑制による神経保護治療研究に展開できる可能性がある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (3件)
Neurosci Res.
巻: 159 ページ: 47-51
10.1016/j.neures.2020.03.014
Brain
巻: 143 号: 4 ページ: 1190-1205
10.1093/brain/awaa064
Mol Brain.
巻: 13 号: 1 ページ: 46-46
10.1186/s13041-020-00585-6
Neurobiol Dis.
巻: 136 ページ: 104717-104717
10.1016/j.nbd.2019.104717
Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering
巻: 57 ページ: 206-214
10.1109/sii46433.2020.9025882