研究課題
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今日のエイズウイルス(HIV)感染症治療の最終目標は、体内からの潜伏感染細胞の完全除去である。近年、新しい治療法として、潜伏感染細胞を排除することを目的としたKick and Kill療法が行われているがKillの段階が十分でない。申請者は、ウイルス放出を阻害する非天然型イノシトールリン脂質誘導体L-HIPPOを創製し、Killの新たな方法としてL-HIPPOを用いた細胞死誘導法“Lock-in and apoptosis”法を開発した。本研究ではこの“Lock-in and apoptosis”を用い、Kick and Kill療法を発展させて臨床使用を目指す。
本研究では、Lock-in and apoptosis法を用いた潜伏感染細胞の除去を目指し、L-HIPPOの結合様式の解明やプロドラッグ化の検討を行なった。まず、結合様式を調べるためL-HIPPOとMA蛋白質との結晶化条件を600種類ほど検討したが、L-HIPPOの結合が観察されなかった。現在、脂質キュービックフェーズ法での結晶化を行うため、ミリストイル化されたMAやGagの精製を検討中である。一方で、プロドラッグ化L-HIPPOを作成し、ウイルス放出抑制効果が確認されたことから、膜透過性の改善に成功した。現在、潜伏感染細胞に対する細胞死誘導能を調査中である。
多剤併用療法(ART)の導入によりHIV感染症は不治の病からコントロール可能な慢性疾患と捉えられるまでになった。しかしながら、現在の治療法では完治しないため一生薬を飲み続ける必要があり、その結果、副作用や合併症などが見られるようになった。実際に、多施設コホート研究によりHIV 感染者でART 治療群では、非HIV 感染者に比して約4 倍糖尿病の罹患率が高くなるという報告もある。HIVの完治が求められているが、本研究にて開発中であるLock-in and apoptosis法は、HIVの根絶に結びつくものと期待される。
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