研究課題
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心筋炎は未だ救命率の低い致死的疾患であり予防・治療法の確立は社会的ニーズが高い。一方、その臨床像は幅広く、発症や劇症化に至るメカニズムについて詳細は明らかでないため、薬物治療も確立されていないのが現状である。本研究は免疫チェックポイント分子であるPD-1(Programmed cell death 1)およびPD-L1(Programmed cell death-ligand 1)の発現が心筋炎の発症や劇症化進展に関与しているかどうかを検証することで、心筋炎に対する免疫応答を介した特異的な治療法の開発へ繋げることを目指した研究である。
リンパ球性劇症型心筋炎(FM)は機序不明の致死的疾患である。本研究は、16人のFM患者を対象に、CD4、CD8、FoxP3、PD-1陽性T細胞数、心筋細胞におけるPD-L1の発現と心イベントとの関連を調べた。心臓イベントのあった患者のCD8陽性T細胞数やCD8陽性/CD4陽性T細胞比が有意に高く、PD-L1高発現群やCD8高値-PD-L1高発現群では生存率が低かった。また、CD8陽性T細胞とPD-L1の発現を組み合わせることで、心イベントのリスク層別化が可能であることが示唆された。本研究は、FM患者の予後を予測するための新たな知見を提供し、将来的に新たな治療戦略の開発に役立つことが期待される。
リンパ球性劇症型心筋炎(FM)は致死的な疾患であり、劇症化メカニズムや治療開発に対する社会的ニーズが非常に高い。本研究では、T細胞プロファイルおよび免疫チェックポイント分子であるPD-1およびPD-L1の発現に注目した。結果、FM患者のうち、CD8陽性T細胞数およびCD8陽性/CD4陽性T細胞比が高い群で予後が悪いこと、PD-L1高発現群やCD8高値-PD-L1高発現群で生存率が低く、CD8陽性T細胞とPD-L1の発現を組み合わせることで、予後層別化が可能であることを示した。本研究の結果は、FM患者の予後を予測するための新たな知見を提供し、将来的に新たな治療戦略の開発に役立つことが期待される。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
Nagoya Journal of Medical Science
巻: 82 号: 3 ページ: 585-593
10.18999/nagjms.82.3.585
120006881559
https://nagoya.repo.nii.ac.jp/records/30428
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