研究課題/領域番号 |
19K23862
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
城 憲秀 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50849552)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | T細胞 / ミトコンドリア / 胸腺退縮 / 恒常性増殖 / 代謝 / MDR1 / 生体外物質トランスポーター / 免疫老化 |
研究開始時の研究の概要 |
病原体やがんに対して中心的役割を果たす「T細胞」の産生臓器「胸腺」は、思春期以降に退縮する。このため、末梢T細胞は加齢の影響を受けやすく、増殖能低下・炎症性サイトカイン産生能の上昇など様々な機能的変容を来す。この現象は「T細胞老化」と呼ばれ、多くの加齢関連疾患の基礎をなすことが明らかになってきた。申請者らは加齢に伴いT細胞のミトコンドリア量と膜電位が低下することを見出した。本研究では、1)胸腺退縮に伴いT細胞のミトコンドリア障害を誘導する機構、および2)ミトコンドリア変化がT細胞老化の機能的特徴に果たす役割を解明し、3)T細胞老化を正常化する介入法を探索することを目的とする。
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研究成果の概要 |
胸腺摘出マウス(ATx)由来T細胞においてMitoTracker染色性が低下するという予備的結果をもとに本研究を開始した。しかし、電子顕微鏡などの追加解析ではATx由来T細胞のミトコンドリア障害を確認できなかった。原因を探る過程で、ATx由来T細胞でMDR1遺伝子が高発現していることが判明し、MDR1阻害剤でATx由来T細胞を処理するとMitoTracker染色性低下がキャンセルされた。以上の結果より当初の仮説は否定されたが、一方でT細胞老化におけるMDR1の重要性を新たに示唆した。MDR1欠損マウス由来のT細胞は、サイトカイン無添加の培養で生存率が低下することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
獲得免疫の中心的役割を担うT細胞の産生臓器「胸腺」は思春期以降退縮する。しかし、末梢性T細胞が緩やかに自己複製・増殖することでT細胞産生低下を代償するために、高齢になっても全身のT細胞プールは維持される。申請者はこのT細胞の生存・維持において重要な役割を果たす分子機構について研究を実施した。研究期間終了までに最終的な結論を示すことはできなかったが、今後も継続して研究を進展させていくことで、T細胞の生存・維持だけでなく、癌や感染症などの加齢関連疾患の原因となる「T細胞老化」に新たな知見を加えると期待する。
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