研究課題/領域番号 |
19K23889
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高倉 有二 広島大学, 病院(医), 助教 (20581698)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 直腸癌 / 化学放射線治療 / メトホルミン / CD44 |
研究開始時の研究の概要 |
局所進行直腸癌に対する術前化学放射線治療は,術後の局所再発を低下させる有効な治療手段であるが,治療抵抗例,早期再発例も多く経験する.癌の治療抵抗性には,EMT(上皮間葉移行)が重要な意義を持つと考えられているが,近年EMTの誘導機序に放射線や癌幹細胞が関与しているという報告がある.また,糖尿病治療薬メトホルミンが癌幹細胞によるEMTを阻害する研究成果が報告されている.研究の概要は放射線誘導性EMTにおけるメトホルミンの抑制機序を解明し,直腸癌における化学放射線治療の効果を高める新たな治療戦略の構築を目指すことである.
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研究成果の概要 |
直腸癌化学放射線治療抵抗性における上皮間葉移行(EMT)及び癌幹細胞の関与を明らかにするとともに,メトホルミンによるEMT阻害効果を確認するために以下の検討を行った.まず,臨床検体を用いた検討では,直腸癌術前化学放射線治療症例において,病理学的完全奏功が得られなかった症例のうち,CD44高発現症例は有意に無再発生存率が低い傾向にあった.大腸癌細胞株LoVo, DLD-1を用いた検討で,スフェロイド培養モデルを樹立し,コントロールと比較してCD44/CD133陽性細胞比率が増加していることを確認した.細胞傷害実験で抗癌剤へのメトホルミン添加によって細胞傷害作用の増強効果を確認した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
直腸癌は大腸癌の中でも治療成績が不良であり,局所再発率が高値であるため,いかに局所制御率を向上させるかが課題である.直腸癌に対する化学放射線治療は局所制御率を向上させる有効な治療法と認識されているものの,それでも局所再発率は依然10%程度にのぼる.化学放射線治療抵抗性への上皮間葉移行(EMT)及び癌幹細胞の関与を検討する今回の我々の検討では,臨床検体を用いた解析で大腸癌幹細胞のマーカーであるCD44高発現症例において有意に再発率が高値であった.直腸癌の治療抵抗性には大腸癌幹細胞が関与している可能性があり,さらなる研究成果が期待される.
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