糖尿病・肥満関連肝癌発癌メカニズム解明のためのトランスレーショナルリサーチ

• 研究課題/領域番号: 19K23908
• 研究種目: 研究活動スタート支援
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 0901:腫瘍学およびその関連分野
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 赤星 径一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80749523)
• 研究期間 (年度): 2019-08-30 – 2022-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2021年度)
• 配分額: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円); 2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
• キーワード: 肝細胞癌 / チロシンキナーゼ阻害剤 / 進行肝癌 / 薬物療法 / 網羅的遺伝子解析 / 薬剤感受性 / 非ウイルス性 / 糖尿病 / 肥満

研究開始時の研究の概要

ウイルス性肝炎の治療法が進歩し、ウイルス性肝癌の罹患率は低下しているが、一方で糖尿病・肥満などメタボリック症候群を背景とした肝癌が増加している。その発癌メカニズムや特徴は未解明な点が多く、スクリーニングバイオマーカーや治療標的に結びつく因子の確立には至っていない。本研究では肝癌手術切除症例の臨床データ解析に基づく糖尿病肥満関連肝癌の臨床的特徴・予後の大規模解析や切除標本を用いた基礎研究を行う。

研究成果の概要

糖尿病・肥満などメタボリック症候群を背景とした肝細胞癌の割合が増加している。これらの肝癌は比較的進行がんで見つかることが多かった。
進行肝癌に対して新規治療薬であるレンバチニブ治療と手術の組み合わせ治療の効果を検証した。レンバチニブ治療は1-2か月で効果が見られ、腫瘍マーカーと治療効果が相関していた。手術に移行できた割合は約50%と高率であり、手術できた症例は有意に予後良好であり、レンバチニブと手術の組み合わせが進行肝癌に対して安全に施行できる有効な新規治療戦略として期待される。また、手術症例の網羅的遺伝子解析では薬物治療効果と相関する遺伝子8種が見いだされ、今後に繋がる結果が得られた。

研究成果の学術的意義や社会的意義

近年肝癌薬物療法が急速に進歩して新時代を迎えている。従来は手術不能な症例が手術可能となることは非常にまれであったが、本研究で用いたレンバチニブは約５０％と非常に高率で手術治療を加えることが可能であった。そして薬物療法後の手術であっても手術後の回復経過に違いはなく、薬物療法と手術の組み合わせ治療の安全性と有効性が示された。
さらに薬物療法の効果とを予測するバイオマーカー候補となる遺伝子が見いだされ、肝癌治療の進歩に寄与できると考えられ、さらなる研究の継続が求められている。

研究成果

• [雑誌論文] brivanibの術前治療後に切除した肝細胞癌の1症例 (2021)
  • 著者名/発表者名: 前川 彩, 渡辺 秀一, 木脇 祐子, 赤星径一, 小川 康介, 小野 宏晃, 工藤 篤, 明石 巧, 田中 真二, 田邉 稔
  • 雑誌名: Liver Cancer 巻: 26 ページ: 21-26
  • 査読あり
• [雑誌論文] Landmarks and techniques to perform minimally invasive liver surgery: A systematic review with a focus on hepatic outflow. (2021)
  • 著者名/発表者名: Monden K, Alconchel F, Berardi G, Ciria R, Akahoshi K, Miyasaka Y, Urade T, García Vázquez A, Hasegawa K, Honda G, Kaneko H, Hoon Kim J, Tanabe M, Yamamoto M, Wakabayashi G; Study group of Precision Anatomy for Minimally Invasive Hepato-Biliary-Pancreatic surgery (PAM-HBP surgery).
  • 雑誌名: J Hepatobiliary Pancreat Sci. 巻: 29(1): 号: 1 ページ: 66-81
  • DOI: 10.1002/jhbp.898
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 右房内腫瘍栓を有する肝細胞癌手術 (2021)
  • 著者名/発表者名: 赤星径一、石田啓之、石川喜也、上田浩樹、小川康介、小野宏晃、工藤篤、田中真二、田邉稔
  • 雑誌名: 臨床外科 巻: 76(9) ページ: 1084-1090
• [雑誌論文] brivanibの術前治療後に切除した肝細胞癌の1症例 (2021)
  • 著者名/発表者名: 前川 彩(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科肝胆膵外科), 渡辺 秀一, 木脇 祐子, 赤星 径一
  • 雑誌名: Liver Cancer 巻: 26巻
  • 査読あり
• [学会発表] 肝細胞癌に対するレンバチニブ治療後の切除介入の意義 (2021)
  • 著者名/発表者名: 赤星径一
  • 学会等名: TMDU HCC Expert Meeting ～Intermediate stageの集学的治療を考える～
  • 招待講演
• [学会発表] Afternoon seminar: Surgical resection after lenvatinib therapy for HCC (2021)
  • 著者名/発表者名: Keiichi Akahoshi
  • 学会等名: The 33rd Meeting of Japanese Society of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Conversion surgery after lenvatinib treatment for advanced hepatocellular carcinoma (2021)
  • 著者名/発表者名: Keiichi Akahoshi, Yoshiya Ishikawa, Hiroki Ueda, Kosuke Ogawa, Hiroaki Ono, Atsushi Kudo, Shinji Tanaka, Minoru Tanabe
  • 学会等名: The 33rd Meeting of Japanese Society of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery
  • 国際学会
• [学会発表] 進行肝細胞癌に対するレンバチニブを用いたConversion surgeryの試み (2021)
  • 著者名/発表者名: 赤星径一、石川喜也、上田浩樹、小川康介、小野宏晃、工藤 篤、田中真二、田邉 稔
  • 学会等名: 第121回日本外科学会定期学術集会,
• [学会発表] Non-viral hepatocellular carcinoma and, diabetes and obesity as its risk factors (2021)
  • 著者名/発表者名: Akahoshi K, Kohei Yagi, Yoshiki Murase, Takeshi Ishii, Toshitaka Sugawara, Yoshiya Ishikawa, Shuichi Watanabe, Kosuke Ogawa, Hiroaki Ono, Daisuke Ban,Atsushi Kudo, Shinji Tanaka, Minoru Tanabe
  • 学会等名: The 32rd Meeting of Japanese Society of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery
  • 国際学会
• [図書] 肝臓クリニカルアップデート (2020)
  • 著者名/発表者名: 赤星径一
  • 総ページ数: 4
  • 出版者: 医学図書出版
  • ISBN: 9784865173963
• [図書] 消化器外科 2020年11月号 最新の肝癌外科診療 (2020)
  • 著者名/発表者名: 赤星径一
  • 総ページ数: 8
  • 出版者: へるす出版