研究課題/領域番号 |
19K24008
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大橋 宣子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70706712)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脊髄X層 / ノルアドレナリン / パッチクランプ記録 / 疼痛 / 脊髄Ⅹ層 / 慢性疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛の代表的治療薬である抗うつ薬はノルアドレナリン (NA)の再取り込みを抑制し、脊髄II層のNAを増加させることで鎮痛効果を発揮すると考えられてきた。しかしNAはⅩ層に最も多く分布することが明らかになり、さらに申請者はin vitro脊髄スライス標本からの電気生理学実験により、NAが脊髄Ⅹ層の抑制性シナプス伝達を有意に活性化させることを解明した。つまりX層が慢性疼痛の発症に大きく関与している可能性が示唆されるが、これまでにⅩ層の機能を検討した報告はない。本研究の目的はX層におけるNAの反応を免疫組織学、電気生理学実験により多角的に検討することで、慢性疼痛の病態解明に寄与することである。
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研究成果の概要 |
脊髄X層の機能はほとんど解明されていない。しかしX層には下行性抑制系のノルアドレナリン (NA)作動性ニューロンが投射しているため、X層が痛みの伝達に関与している可能性がある。本研究は炎症性疼痛モデルを用い、X層におけるNAの反応を脊髄スライス標本のX層からin vitroパッチクランプ記録を用い電気生理学実験により解析した。その結果、脊髄X層において、NAは抑制性ニューロンのシナプス前終末に存在するα1A 受容体を活性化することでNAの放出を促進する、および直接シナプス後膜に存在するα2受容体を活性化し膜の過分極を生じることで、炎症性疼痛に対し鎮痛効果を発揮している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでX層の機能について着目した報告は少ない。当然のことながら疼痛の発症機序を解明する上で重要であるNAについて、X層におけるNAの反応の変化をシナプスレベルで検討した報告はない。本研究により、NAは脊髄X層の抑制性ニューロンに作用することで、炎症性疼痛に対し鎮痛効果を発揮している可能性が示唆された。つまり、疼痛時のX層におけるNAの変化を検討した世界で最初の研究であるといえる。 また本研究はin vitro脊髄標本によるパッチクランプ記録を用いた。この手法が行える施設は世界的にも非常に数が少ない。よって、本研究の結果は非常に稀少であり意義が高いといえる。
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