研究課題/領域番号 |
19K24012
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 公治郎 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10848203)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肝虚血再灌流障害 / 抗生剤 / 肝移植 / 虚血再灌流障害 |
研究開始時の研究の概要 |
虚血再灌流障害は肝移植に伴う肝障害であり、その予防法の確立は移植医療における重要な課題である。本研究の目的は、非吸収性の抗生剤であるリファキシミン(RFX)のレシピエントに対する術前治療が移植後の肝障害を軽減しうるか、またその機序を解明することである。具体的には(a)マウス同種同所性肝移植モデルを用いてレシピエントに対するRFXの前治療が虚血再灌流障害を軽減できるか、またそのオートファジーおよび小胞体ストレスに対する影響を評価し、(b)生体肝移植症例の患者データおよび生検サンプルの解析を通じて、レシピエントに対する抗生剤あるいはRFXの前治療が患者アウトカムと相関するかを検討する。
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研究成果の概要 |
肝移植前のレシピエントマウスに非吸収性抗生剤であるリファキシミンを投与した群では対照群に比べて,移植6時間後の炎症細胞集積・炎症性サイトカインの発現・肝障害が軽減していた。リファキシミン投与を受けたレシピエントマウスにナイーブマウスの糞便を経口投与した後に肝移植を行うことで,リファキシミン群では軽減されていた肝障害が再燃した。生体肝移植を受けたヒト成人レシピエント患者を後方視的に解析した結果,術前にリファキシミン投与を受けたレシピエントは対照群と比較して移植後成績が良好な傾向にあることも分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝虚血再灌流障害は術後肝不全やグラフト拒絶の要因となるため,その予防は移植医療における重要な課題である。本研究では,非吸収性の抗生剤であり長期間の投与が比較的安全に行えることが報告されているリファキシミンが,マウス肝移植モデルにおいて虚血再灌流障害を緩和することを示した。臨床における肝移植レシピエントは術後に免疫抑制剤による治療を要するため,吸収性の抗生剤を術前のレシピエントに長期間投与することは,耐性菌の出現や難治性感染症を引き起こす可能性が危惧される。そのため,非吸収性で長期間投与が可能なリファキシミンによる肝保護効果が示された本研究は,今後の臨床応用の礎となりうる考えられる。
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