研究課題
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ゾレドロン酸は骨に集積し、破骨細胞による骨吸収の際に破骨細胞内に取り込まれ、その骨吸収機能を阻害し骨吸収を抑制すると理解されている。しかし、ゾレドロン酸が血液中の単球におけるIRF8の発現促進を介して、単球から破骨細胞への分化を抑制するという新しい骨吸収抑制メカニズムが存在するのではないかと考えた。本研究は、ゾレドロン酸による破骨細胞分化阻害のメカニズムを解明することを目的とし、申請者の発見は、ゾレドロン酸などの窒素含有ビスホスホネートの新たな作用機序を提案するものである。また、顎骨壊死の発症機序に骨代謝回転阻害が示唆されていることから、本研究は顎骨壊死の機序解明に示唆を与える可能性がある。
ゾレドロン酸(ZOL)は、ヒト末梢血単核球中のCD14+単球における破骨細胞(OC)分化抑制転写因子IRF8の発現を誘導した。ZOLは、ヒト単核球の存在下、γδT細胞に依存してRANKLによるCD14+単球のOC分化を抑制した。ZOLは、末梢血単核球のγδT細胞を含む細胞群由来の液性因子を介してCD14+単球の破骨細胞分化を抑制すると考えられた。ヒト末梢血単核球をZOLで処理したところ、γδ T細胞依存的に、TNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γの発現が上昇した。ZOLによるOC分化抑制にIFN-γが関与する可能性が示唆された。
ZOLを含め、ビスホスフォネート製剤は、成熟破骨細胞に選択的に取り込まれ、その機能阻害・細胞死誘導により骨吸収を抑制する。本研究で我々は、ZOLがヒト末梢血単球の破骨細胞分化を抑制することを見出した。ZOLによる単球の破骨細胞分化抑制の機序として、単球におけるIRF8の発現誘導が示唆された。また、ZOLは末梢血単核球に作用し、IFN-γを含め種々のサイトカイン産生を高めることが示された。これは、骨吸収抑制剤ZOLの新しい作用機序と言える。
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Immunology
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http://www10.showa-u.ac.jp/~oralbio/
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