研究課題/領域番号 |
19K24220
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター) |
研究代表者 |
横山 貴和子 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター), 実証システム国際研究センター, 研究員 (80851443)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 神経性やせ症 / anorexia nervosa / family-focused / carer-focused / 家族療法 / severe and enduring / propensity score / 傾向スコア / アノレキシア / アタッチメント / 母子関係 / 集団精神療法 / 家族介入 |
研究開始時の研究の概要 |
ANは、やせ願望や肥満恐怖から極端な低栄養状態を呈する死亡率が最悪の精神疾患である。その外来治療は軽症者にはCBT-Eの効果が示されているが、半数以上が経過をたどる重症遷延者に対しては事実上皆無である。そんな現状に患者も医療不信が募るのか、受診に至りづらく、至っても高率に中断する。“親だけの意識改革”を提唱・実践し、多くを回復に至らせる濱中禎子氏の方法論“家族だけ”療法は注目に値するが、そこにエビデンスはない。効果検証が必要だが、ANでの無作為化比較試験は重症遷延例ほど難しいため、本研究ではそれに準ずるエビデンスを有する傾向スコア分析により検証を行う。
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研究成果の概要 |
新型コロナウイルス蔓延により縦断介入研究から横断観察研究に計画変更し、DSM-5を満たす平均BMIが13.8 という重度の神経性やせ症(AN)女性患者38名とその母親38名から回収された自記式尺度の回答を得た。EDE-Q を従属変数とし、交絡除去のために傾向スコアを重みづけ変数とした共変量調整下で重回帰分析が施行された。結果は、AN患者の摂食障害病理と、①母親の養育態度や家族関係、②母親の精神状態、③母親への支援、との関係性においてそれぞれ有意差や傾向差が認められた。母子関係はAN病態に関連し、“家族だけ”療法を含めた母親への支援が、母親の負担軽減を通じて病態改善に寄与する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
重症のANは、我が国でも少数の症例報告が中心であり、本研究ほどの規模で重症のAN患者のみを対象にし、かつ母子セットでデータを集めている疫学的報告は国内では殆ど認められない。多くの医療資源を費やす上に、予後不良で確立した外来治療の存在しない重症AN患者の今後の治療を検討する上で、本研究で得られたデータは貴重である。特に、母親に対するサポートを中心とした家族支援が、母親の精神状態や家族関係の改善を通じて、娘である重度AN患者の摂食障害の病態改善に寄与する可能性が示唆され、今後のさらなる家族支援のあり方を検討する上で貴重な研究と言える。今後、縦断的な介入研究を含めた一層の検証が求められる。
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