研究課題/領域番号 |
19KK0058
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30535696)
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研究分担者 |
坂本 將暢 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (20536487)
久野 弘幸 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (30325302)
坂本 篤史 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (30632137)
柴田 好章 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (70293272)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 海外型レッスンスタディ / 教育実践学 / 比較授業分析 / 日本型授業研究 / グローバルな知見の創出 / ローカルな知見の交流 / 授業実践学 / Craft pedagogy / レッスンスタディ / 東アジアと西アジア / 日本型授業研究・授業分析 / 日本型授業実践学 / ペダゴジーの再構築 / 国際比較授業分析 / Lesson Study / ペダゴジー / 東・西アジア / 国際比較研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本型授業研究「Lesson Study」を導入した東アジアと西アジアの対話(ローカルな知見の交流)を通して現代社会における授業実践の質向上の様相とその機能を解明し、国境を超えた「教育実践学」(グローバルな知見の創出)を構築することである。 国際比較という「レンズ」を通して、科学的、工学的、文化的、哲学的に教育実践を問い直し、教育思想の独自性と普遍性を明らかにし、授業実践の質向上の様相とその機能(特に、知識基盤社会におけるよりよい社会の実現への教育実践の使命)と学びの本質(子どもの可能性を最大限引き出す質の高い教育の可能性)を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本型授業研究「レッスンスタディ(Lesson Study) 」を導入した東アジアと西アジアとの対話(ローカルな知見の交流)を通して現代社会における授業実践の質向上の様相とその機能を解明し、国境を超えた「教育実践学(ペダゴジー)」(グローバルな知見の創出)を構築することである。2023年度においては、海外(西アジア:イラン・トルコ、東アジア:韓国・中国・モンゴル)及び日本においてレッスン・スタディを実施し、各国の授業実践の文化的特徴を検討し、授業の文化的基底を明確にした。その結果を基に、「改善の科学」としてのレッスン・スタディに基づく教育実践学の再評価をすることができた。具体的には、国内・海外の授業記録を分析対象とし、その文化・社会的背景が埋め込まれている授業記録をテキスト(text) (教材・内容・評価・教師観など) として解釈した。国内・海外からもたらされた授業記録へのコメントを結びつけ、異なる文化の「レンズ」や「言語」から見ることを軸にした授業実践学の学術的意義を検討することにより、授業研究の国際的な展開の動向及び研究・実践の焦点や課題が明確になった (新時代の授業研究と学校間連携の新展開 教育方法52 日本教育方法学会編2023年を参照)。 これらの分析の結果として、なぜ日本型授業研究が各国で急速に広まったのか、国内・海外において、ある教育革新のアイデアは速く広がって定着するが、ある教育革新のアイデアは広がるのが遅く、時には全く広がらない要因を明らかにした。日々の授業改善において、授業研究の効果が目に見えるので、どのような学校現場の状況にも応用(applicable)できるためであることが明確になった。日本型授業研究は、海外の教育学者、管理職、教師ほかにとって、その実行方法や利点を容易に説明(illustrate)できることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の手法は、授業実践における、一つ一つの発言・行動という「ナノ」レベルから出発し、「ミクロ」「メゾ」「マクロ」へとレベルを引き上げながら比較授業分析を行い、「グローバル」レベルでの知見を明らかにしようとするものである。つまり、事実(エビデンス)に基づく比較授業分析を通して「ナノ」「ミクロ」レベルの実証的研究を基に国際的・学際的研究を展開し、理論(theory)と方法論(methodology)、手法(tools)を結びつけるアプローチを解明する取り組みを通し、西アジアと東アジアにおける研究協力が進んできた。具体的には、日本国内および海外(特にイラン・中国・韓国)の学校・大学を訪問し、実際の授業を観察するとともに授業研究データを収集した。韓国・中国やイランにおいて「国境を超えた日本型授業研究の効果」について対面形式によるワークショップを実施し、各国の教育研究者と実践者との交流のなかで「ナノ」「ミクロ」「メゾ」各レベルで新たな知見を得ることができた。また、海外の新たなフィールド調査(中央アジア)のための研究打ち合わせ・調査準備・現地の研究協力者との連絡・打ち合わせ等ができた(例:ウズベキスタン)。並行して、これらの研究成果・分析等のとりまとめを行うことが、「マクロ」レベルのこれからの課題である。 これまでの研究成果を基に、国際雑誌に研究論文を1本投稿して審査は完了段階であり、日本教育方法学会が発行する研究書(教育方法52)第3部を執筆し、出版された(2023年10月)。さらに、国際・国内雑誌への論文投稿の準備、国際学会・国内学会での発表準備等が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、授業記録に基づく比較授業分析の共同研究会を開催し、その成果を踏まえた比較授業分析セミナー等を実施する予定である。こうしたアジア地域のフィールド調査、検討・分析会の成果を基に、授業実践の質向上の複合的構造や授業実践学の基礎理論、授業実践の文化的基底とその質向上の様相ならびにその機能(メカニズム)を解明する。さらに、国際比較授業分析を応用しながらアジア地域以外の諸国との知見の交流することにより、「教育実践学」や「改善の科学」としてのレッスン・スタディの効果を再評価し、新たな研究方法論を構築する。具体的に、次の通りである。 ① 各国の教員他へのインタビュー調査など、②レッスン・スタディにおけるローカルな知・理論とグローバルな知・理論の再検討・考察、③よりよい社会の顕在化のための教育実践学の役割の解明と再構築と④授業実践の文化的基底と質向上の様相の解明。
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