研究課題/領域番号 |
19KK0159
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄子 晶子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30792080)
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研究分担者 |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90237074)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 海洋汚染 / 海鳥 / バイオロギング / 水銀 / 物質輸送 / 海洋環境 / 行動 / 汚染物質 / 水銀輸送 / 海洋生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋生態系において食物連鎖の高次捕食者である海鳥類は、環境中の汚染物質や栄養塩を高濃度に蓄積しており、これらの物質を渡り等の長距離移動を通じて運ぶ「物質輸送者」としての一面がある。これらの物質輸送は多国間にわたる国際的な環境汚染問題であり、その影響は陸域・海域双方の生態系に及んでいると考えられる。本研究では、汚染物質の排出量が大きい日本及び排出量は小さいが大陸間輸送先である北米アラスカの海鳥類を対象として、高次捕食者による水銀の輸送メカニズムと輸送先への影響評価を明らかにし、海鳥類をモデル生物として、水銀の大陸間輸送による海洋への影響を検出する手法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では,海洋生態系の高次捕食者である海鳥類をモデル生物として,海洋汚染物質である水銀の大陸間輸送を検出することを目的とする。これを調べるため,環境中への水銀排出量が異なる北太平洋の西側(天売島個体群)と東側(ミドルトン島個体群)で繁殖する海鳥類における体内組織への水銀蓄積量の種内及び種間比較を行った。Migrate Technology社のGeolocatorにより記録した非繁殖期の移動データと行動データから,天売島のウトウは八の字状に移動しながら日本近海で越冬しており,先行研究の結果と一致した。一方,ミドルトン島のウトウはカリフォルニア沖から北太平洋旋回内を広く利用していたことがわかった。環境中に排出される水銀推定量を天売島とミドルトン島周辺で比較したところ,天売島周辺の方が水銀排出量が有意に多かった。同様に,天売島とミドルトン島において,ウトウ繁殖地内に設定したウトウ繁殖地区とウトウや他の海鳥が繁殖していないコントロール区において共通して生育する植物優占種の水銀蓄積量を調べたところ,天売島ではウトウ繁殖地区でコントロール区よりも水銀濃度が高かったが,ミドルトン島では違いはみられなかった。一方,ウトウの体内組織における水銀濃度を測定したところ,繁殖地近海での蓄積量を示す血液と尾羽では天売島とミドルトン島個体群で違いはみられなかったが,越冬海域での蓄積量を示す体羽ではミドルトン個体群の方が高かった。これらの結果を統合して環境中に排出される人為的な水銀排出量との関連を解析したところ,環境中への排出量とそこで生息する海鳥類の水銀蓄積量は関連することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は種間比較をするための試料収集を進められており,世界各地の海外研究協力者からの資料提供を受けた。一方で,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,試料の収集やレビュー実施に予定よりも時間がかかり,水銀モデルについてはまだ進められていない。このため,研究期間を1年間延長して,来年度に本対象地域における水銀の移動拡散モデルを構築する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までにさまざまな海鳥類より収集した,1)移動データ,2)行動データ,3)血中水銀濃度,4)羽中水銀濃度,5)血中の安定同位体比,6)羽中の安定同位体比,7)餌動物の水銀濃度を種内・種間比較を行い,環境中に排出された水銀がどのように拡散していくのかモデルを構築する。
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