研究課題/領域番号 |
19KK0247
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00272477)
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研究分担者 |
保前 文高 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (20533417)
續木 大介 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (50646346)
儀間 裕貴 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50708039)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 胎児 / 脳 / MRI / 発達 / 運動 / 二足歩行 / サブプレート / 白質線維 / 胎動 / 縦断研究 / 脳溝 / cineMRI |
研究開始時の研究の概要 |
脳のイメージング技術の進歩により、成人から乳幼児へ、さらには胎児へと、より初期の脳の発達に関心が注がれるようになってきた。本研究では、東京大学を中心とする日本グループが、ウィーン医科大学を定期的に訪問し、そこで蓄積されてきた胎児のMRI画像を用いた分析を行う。特に、世界的にも例が少ない胎児の縦断的な計測データを用いて、脳の形態変化を定量化するとともに、弾性体力学理論に基づき、脳溝形成の仕組みを分析する。また、MRIで捉えた全身の自発運動の時系列分析を行い、脳の構造発達との関連を調べる。
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研究実績の概要 |
ウィーン市立総合病院で撮像された胎児期の脳の構造画像(MRI T2)、及び全身運動画像(cine MRI)を対象とし、脳の形態発達と胎動の発達に関する分析を進めた。 妊娠中期の胎児の胎動を記録した463個のcineMRIデータから、全身の運動が判別可能な(30名から取得した)35個のデータを選択した。さらに、2分間を通して、矢状面で体幹と下肢の動きが見える(10名から取得した)10個のデータを選択した。各フレームごとに体幹・下肢の輪郭を手動で抽出し、9個のセグメントに分割したセグメント間の角度の時系列を得た。体幹と下肢の角速度の瞬時位相差を求め、協調パターンの定量化を行ったところ、体幹の伸展と屈曲が下肢の屈曲と伸展と協調する逆位相型の運動パターンが頻繁に見られることが明らかになった。この協調パターンは、成人の二足歩行における立脚期を飛ばして遊脚期のみを繰り返す運動に対応づけられる。そこで、この運動パターンをスイングと名づけた。定量的な分析を行わなかったデータを含む35個のデータにおいて、スイングが見られるかどうかをビデオで判定したところ、30名中22名で認められた。これまで、体幹を支えられた新生児に現れる下肢のステッピングは、歩行を生成する神経系の働きを示すものであり、出生後一年かけて直立姿勢と歩行の統合がなされると考えられてきた。しかし、胎児で頻繁にスイングが見られることは、直立姿勢と歩行の協調を担う基本的なメカニズムが、重力の影響が少ない胎児の子宮内環境ですでに発現していることを示唆している。 この現象がヒトの直立二足歩行の進化の機構を幼形進化として説明できるかどうか、脳の形態の発達と進化との関連性を含め、理論的に検討を行っている。 本年度も、ウィーン医科大学・ウィーン市立総合病院に短期滞在し、研究に関する討論と、近年新たに計測されたcineMRI胎動データの収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症のため、ウィーンへの渡航ができなかった時期に行うべき作業を延期して行う必要が生じている一方、予想外に興味深い解析結果が得られており、総合的には順調な進捗といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、ウィーンに渡航して、研究成果の最終的な取りまとめについて徹底討論するとともに、今後の発展的な研究に向け、脳の発達と胎動の解析について新たな取り組みを行う。
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