研究課題/領域番号 |
19KK0303
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | メタ倫理学 / 自然主義 / 道徳的説明 / 局所主義 / 道徳判断 / 正義 / 徳 / 道徳的実在論 / コーネル実在論 / 実践上の規範性 / 認識に関する規範性 / 認識論 / 道徳哲学 / 実践的規範性 / 認識的規範性 / 還元主義 / 信念の倫理 / 実験哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本国際共同研究は「ハナコはタロウを助けるべきだ」といった表現で表される行為の規範性(practical normativity)と、「ハナコは証拠に基づいて考え、判断するべきだ」といった表現で表される認識上の規範性(epistemic normativity)の関係に関する研究である。具体的には、後者が正当化されるのは常に前者による正当化がある場合のみであるという、申請者が「実践説」と呼ぶ説の擁護に取り組むことで、両者の関係を明らかにしようとする試みである。この説が含意するのは、「何かを信じるべきであるのは、そのように信じることが何らかの実践上の利益をもたらす場合のみである」という考えである。
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研究成果の概要 |
本研究課題が構想された段階では、研究課題名にあるように「ハナコはタロウとの約束を守るべきだ」などの表現によって示される実践的な規範性と、「ハナコは真である命題を信じるべきだ」などの表現によって示される認知上の規範性の関係に関する探究が試みられる予定であった。しかしながら、国際共同研究を進める中で、科学的知見に訴えて実践的な規範性の実在を擁護する「局所主義的なアプローチ」の有効性が確認され、この点に関する研究を集中的に実施することになった。その結果、「他者を害する行為は悪い」などの個別の道徳的命題の真理性が関係する諸科学の知見(社会心理学、文化人類学など)によって擁護できることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
倫理学と科学の関係は特に西洋における倫理学の歴史において常に哲学者が取り組んできた課題である。本研究は道徳的性質の有無は局所主義的に検討されるべきであるとの結論を提示するが、これは「倫理学上の探究は科学的知見に訴えて進めることができる」との自然主義的な考えに具体性を与えるものであり、今後の隣接分野の共同研究の理論的枠組みを提示する重要な学術的・社会的意義を持つ。たとえば、本研究の成果から、正義に関する倫理学上の研究と正義の実装が試みられる平和学における研究の共同などが構想される。
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