研究課題/領域番号 |
19KK0398
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
創薬化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平野 育生 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00708117)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | GATA1 / GATA2 / Erythropoietin / GATA inhibitor / Doping / GATA / erythropoiesis |
研究開始時の研究の概要 |
末梢血中の赤血球量が減少することで生じる貧血の治療には、鉄剤の投与や赤血球産生を誘導するサイトカインであるエリスロポエチン(EPO)の投与が行われている。しかし、鉄剤による毒性や、EPO製剤の投与方法や薬価などが問題としてあり、新たな貧血改善薬の開発が進められている。本研究では、その1つのアプローチであるGATA阻害薬によるEPO誘導を介した貧血改善薬の開発を目指し、GATA阻害薬によるEPO産生誘導能の検証をおこない、また全身性GATA阻害による造血への影響を、最新の解析技術であるシングルセルRNAシークエンス法を利用して解析する。
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研究成果の概要 |
エリスロポエチン(Epo)は腎臓で産生され赤血球造血を誘導するサイトカインである。近年、Epo遺伝子を肺などで異所性に発現誘導可能な薬剤としてGATA転写因子の阻害薬が報告された。本研究では、全身性のGATA阻害による造血系への影響、およびGATA因子によるEpo遺伝子制御機構について、それぞれ遺伝子改変マウスを樹立し、個体レベルで解析を行った。その結果、全身性のGATA因子阻害は重度の造血障害を引き起こすこと、腎臓Epo産生においてGATA因子はむしろ正に制御に関わる可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果は、成体の造血系における転写因子GATA1、GATA2の機能を明らかにするうえで重要な知見となるものである。GATA阻害剤によるEpo遺伝子発現誘導効果は、新規貧血改善薬の開発につながると期待されるが、今回の解析結果はGATA阻害による造血系への抑制性作用、および主要なEPO産生細胞でのEPO産生制御へのGATA因子の正の関与を示すものであり、GATA阻害によるEPO産生誘導効果を得るには組織特異性を高める必要があることを示せたと考える。また、本研究の結果はドーピングなどでのGATA阻害剤の安易な使用を抑制する意味でも社会的意義があったと考えている。
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