研究課題/領域番号 |
19KT0023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
オラリティと社会
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橘 亮輔 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (50610929)
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研究分担者 |
柳原 真 帝京大学, 先端総合研究機構, 講師 (60392156)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 発声学習 / 音声グルーミング / 鳴き交わし / オペラント条件づけ / 音源分離 / 社会結合 / 社会報酬 / 鳴きかわし / 音響信号処理 / 神経活動記録 |
研究開始時の研究の概要 |
サルの毛づくろい(グルーミング)は社会的集団内の結合性・親和性を高めることが知られる。一方、ヒトはこれを音声に置き換えることで形成・保持可能な集団サイズを飛躍的に高めたという「音声グールミング仮説」が提案されている。挨拶などの音声のやり取りが親和性の維持に貢献することは当然に思えるが、その行動基盤や神経基盤を詳細に検証した例はない。そこで、本研究は鳥類を対象として、鳴き交わしを人為的に促進・阻害し、個体間の社会的結合が増強・減弱するかを計測し、音声がグルーミングの役割を果たすかを実験的に検証する。加えて、高次聴覚中枢と報酬系神経核より神経活動を記録し、その神経基盤を探る。
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研究成果の概要 |
本研究は、音声グルーミング仮説に基づき、発声交換と社会結合促進の関連性とその神経基盤を明らかにすることを目的として、鳴禽類(キンカチョウとジュウシマツ)を対象に、鳴き交わし行動とその神経活動を測定した。社会的報酬に基づいた鳴き返し行動の条件づけが可能かを調べたところ、制約はあるものの可能であることが分かった。また、3羽以上の集団で各個体の発声時刻と位置を追跡する手法を確立し、鳴き交わし行動が社会的親密さと関連することが分かった。加えて、自由行動下での脳神経活動を計測する手法を確立した。この研究により、音声グルーミング仮説を支持するメカニズムの一端を明らかにできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
声のやりとりは社会基盤の一つである。ダンバーの音声グルーミング仮説は、言語内容によらず声を交わすこと自体が社会集団を形成し維持するのに貢献すると説いた。このメカニズムを明らかにできれば、我々の社会がどのようにして形成されるのかを知る手掛かりとなる。本研究では、社会と声の関連性(socio-vocal coupling)が形成される仕組みを明らかにするアプローチの一つとして、社会的フィードバックが発声行動を変容させるかを、鳴禽類を対象にして調べた。結果、鳴き返し行動が社会的報酬によって操作される可能性が示された。このことは、音声グルーミング仮説を可能にするメカニズムの存在を支持する。
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