研究課題/領域番号 |
19KT0030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
オラリティと社会
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研究機関 | 神戸大学 (2021-2022) 立命館大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
岡野 真裕 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (90809956)
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研究分担者 |
紅林 亘 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (70761211)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 合奏 / リズム / 協調 / 対人間協調 / 結合振動子 / 協調ダイナミクス / complexity matching |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヒトの動作のシンクロナイゼーションに関するタイミング調節特性の調査、タイミング調節特性に影響する因子の特定、バーチャルパートナー(合奏のパートナーを担うコンピュータプログラム)やHumanizer(楽譜の打ち込みで製作された電子音楽のタイミング等にゆらぎを与え、人間の演奏を模すコンピュータプログラム)の開発を行う。その過程でヒトのタイミング調節特性パラメータが取り得る値の範囲や、その熟達度・心身状態・環境に伴う変化、パラメータの組み合わせと聴取印象との関係などを調べる。これらを通し、合奏における「息が合う」という感覚の正体、つまり名演の背後にある協調ダイナミクスに迫る。
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研究実績の概要 |
2021年度の研究では、2人組リズム維持課題(Okano et al., 2017, Sci.Rep; Okano et al., 2019, Physica A)で得られたタップ間隔系列に基づいた3種類のモデルパラメータ(1.実験結果に近い振る舞いとなる設定、2.周期修正を極力抑えた設定、3.それらの中間的な設定)に基づく試作ヒューマナイザー(打ち込みで作成した電子音楽に人間が演奏したかのようなゆらぎを与えるプログラム)において、2.の設定が比較的自然に聞こえることがわかった。 2022年度には、これらを用いた聴取実験に用いる曲の試作や、どのような時間単位(4分音符か、8分音符か、16分音符か)にこのプログラムを適用するとよいのか、またタイミングのばらつきの大きさに関わるパラメータをどの程度にすれば、ゆらぎやズレが認識されうるのかに関する検討を主に行った。 試作曲は、作曲家でもある連携協力者の協力を得て、2拍子系、3拍子系、4拍子系のそれぞれでバロック・古典派風のスタイルと、フリースタイルの楽曲、さらにボンゴやコンガでそれらのリズムだけを取りだしたものとして、合計12種類を用意することが出来た。これらの曲に対して、自然に聞こえる演奏テンポの範囲がどの程度かの検討や、様々な時間単位に様々なパラメータ設定のヒューマナイザーを適用した演奏音源を作り、分担研究者・連携研究者らと聞き比べを行って、聴取実験のデザインを現在策定しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
授業の担当コマ数が昨年度より増え、初めて担当する科目が複数あり、学部生の卒業研究ゼミも始まったため、それらの準備や学生指導に多くの時間と労力が必要であった。また、他に協力を依頼されていたプロジェクトにも想定より多くの労力を割くことになってしまった。さらに、それらによる疲労もあり研究代表者に体調の優れない時期が少なからず生じてしまった。研究分担者も、類似の理由で体調の優れない時期が多くあった。これらの理由により、思うように研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響も落ち着いてきたため、予備実験まで行ったあと中断していた「研究3:実際のヒトのパラメータの収集と影響因子の特定」に関わる実験を再開する。具体的には、合奏に慣れている人とそうでない人とで、位相修正や周期修正のパラメータが異なるかや、2人組での同期タッピング課題での加速しやすさが変化するかについて検討する。並行してヒューマナイザーの聴取実験を調査会社を通したクラウドソーシングで行えるような形でデザインし、データを集めていく。
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