研究概要 |
植物が持つ核tRNA遺伝子の中にはイントロンを持つものがある。前駆体tRNA分子のスプライシングは核内で進行するが,エキソンの連結反応に関わるtRNAリガーゼは核以外に葉緑体にも局在する。tRNAリガーゼが葉緑体tRNAの修復に関与する可能性を検討するために,tRNAリガーゼのリガーゼドメインに置換を導入した変異遺伝子を作製し,タバコで過剰発現させたドミナントネガティブ変異体を作出した。野生型と変異植物に対して酸化的ストレスを与えて,細胞質と葉緑体tRNAを抽出して特異プローブを用いたノーザン法でintactなtRNAとその分解物の割合を求めた。この結果,10mM H_2O_2を用いた酸化的ストレス条件では幾つかの細胞質tRNA分子種において分断が観察されるものの,葉緑体RNAは野生型,変異体いずれでもintactなものと分断されたものに差異は見られなかった。
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