研究課題
基盤研究(C)
増殖、代謝調節など種々の生物活性を有するIGF-I(insulin-like growth factor I)は、主として肝、中でも肝細胞で産生される。肝硬変患者ではIGF-Iの血中濃度が低下しており、肝硬変患者に対する投与試験では肝機能の回復が報告されている。アミノ酸の投与によるIGF-Iの産生促進作用を評価した上で、肝硬変におけるIGF-Iの誘導を介した病態改善作用を検討する事を目標とした。培養肝細胞におけるIGF-I産生に対するアミノ酸添加の影響を検討したところ、branched-chain amino acids、中でもleucineが産生促進作用を有する事を見出した。また、このIGF-Iは肝細胞に直接作用してmTOR系を中心に活性化し、肝細胞増殖、肝細胞蛋白合成能、糖代謝能を促進することを見出した。これらの効果はinhibitor添加により抑制された。我々の検討でIGF-Iは直接肝細胞に対して効果を持ちうる事が明らかになった。肝機能低下状態にある肝硬変において、IGF-Iをup-regulateする事は、肝細胞に直接作用して肝機能改善に有効と推定された。
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http://gastro.m.u-tokyo.ac.jp/med/0201.html