研究課題
基盤研究(C)
ヒト口腔扁平上皮がん組織から発見したがん抑制遺伝子と考えられるFAT遺伝子の臨床応用を目指す基盤研究を行っている。完全長cDNAを組み込んだ巨大ベクターを2種類(5'末端にHis-TagとGFP-Tagを付けた)作成を完了し、大腸菌に蛋白を発現させるも、Western解析では検出されなかった。原因としてmRNAまではできるがすぐ分解された(5'にTagを付けたため)か、巨大蛋白のため宿主側の影響が考えられた。一方、同時並行的に進めていたマウスFATのWesternブロットによる検出に関して、弱いながらも500kD付近にバンドを検出した。また免疫組織化学では、ラットを用いてFAT蛋白のモノクローナル抗体を作成しIsotypingにて、IgG2bであることを確認した。細胞内での挙動を見るために、作成した抗体を用いて免疫染色法やWesternを解析を進めてきたが、正常口腔上皮組織において膜周辺に染色される蛋白を同定している。これはアミノ酸配列から予想されたカドヘリンスーパーファミリーとしての細胞接着機能を有する可能性を示唆している。口腔がんの検体数、細胞株数を多数収集してFAT遺伝子変異の頻度、臨床データとの相関を調査しているがまだ収集数が不足しており、統計解析には至っていない。パラフィン包埋組織からの簡易DNA抽出キットやゲノムメチル化分析キットを購入して解析予定である。また機能解析のためにFAT遺伝子ホモ欠失のある2つの培養ヒト口腔癌細胞株に、完全長cDNA遺伝子をトランスフェクションにて導入して細胞のレスキュー実験を計画して現在5'側にTagのないベクターにてWestern解析を行う予定であったが、今年度はできていない。
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Journal of Human Genetics 53
ページ: 296-302